私は、日本共産党を代表して、根抵当権付債権の譲渡円滑化法の一部改正案に反対の討論を行います。
反対討論の第一は、本法案がまじめに取引の継続を願っている中小企業などの債務者を、金融機関の一方的判断でRCCなどの特定債権回収機関に売却できてしまい、中小企業の整理、淘汰を一層促進することになるからであります。
現行民法の原則は、根抵当権の確定期日到来前若しくは取引終了前の元本確定又は債権の譲渡をするときは債務者の承諾を必要としています。しかし、本法案は、債権者である金融機関の一方的判断により、たとえ経営が厳しくともまじめに返済をし、引き続きの取引を願っている正常な借り手までも取引終了通知によって元本の確定があったとみなし、RCCやサービサーなどの特定債権回収機関に簡便に譲渡できてしまうものであります。これは、金融機関にとっては非常に有利な法律ですが、借り手にとっては意に反して取引の終了を迫られるものとなり、認めるわけにはいきません。
深刻な不況が長期に及び、不良債権処理の加速などによる中小企業への貸し渋り、貸しはがしが深刻な今だからこそ、金融機関の優越的地位に一定の制限を加え、法の下の実質的平等を実現することこそが求められているはずであります。
反対の理由の第二は、本法案が根抵当権付債権の譲渡円滑化のために登記の真正さを犠牲にしていることであります。根抵当権の確定の登記について不動産登記法は共同申請主義を原則としています。しかし、本法案は、根抵当権の元本確定の登記をする場合に、根抵当権者による単独申請を認めています。これは、共同申請によって登記の真正さを担保する原則に対して明らかに例外を認めるものであり、許されません。
以上、反対の理由を申し述べ、討論を終わります。