私は、日本共産党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
反対理由の第一は、改正案が個人住民税の配偶者特別控除上乗せ分を廃止するなど庶民増税であり、経済危機に一層の拍車を掛けるものとなっているからです。
配偶者特別控除の廃止における影響人数は先ほどの政府答弁でも一千三百七十七万人。負担増額は国税、地方税合わせると年間六万円になることも明らかになりました。この不況の中で庶民増税を行えば、国民生活を一層痛め付け、消費を抑制し、一層景気を冷え込ませることは明白ではありませんか。
反対理由の第二は、法人事業税への外形標準課税の導入です。
そもそも法人事業税は都道府県財政の基幹を成すものであり、こうした基幹部分に応能負担という課税の基本から外れた制度を導入することは断じて認められません。しかも、外形標準課税の導入によってこれまでは税負担のなかった赤字企業にまで税負担が押し付けられ、中小企業の経営と日本経済に重大な打撃を与えることになるからであります。導入企業規模を資本金一億円以上に限ったと言いますが、中小企業基本法では資本金三億円以下を中小企業としており、一部の中小企業が大企業と並ぶ扱いを受けることとなるのは明瞭です。
しかもその一方で、資本金一千億円以上の企業には資本割課税を段階的に圧縮し、何と資本金一兆円を超える大企業については一律頭打ちという、実に巨大企業や大銀行優遇の仕組みであることが我が党の質疑で明らかになりました。
反対理由の第三は、大企業優遇による地方税の大幅減収を地方自治体に押し付けるものだからであります。
現在、勤労者の住宅取得に係る不動産取得税は既に非課税措置が取られています。特別土地保有税の課税対象は、東京二十三区と政令指定都市で二千平米以上、都市計画区域を有する市町村では五千平米以上、その他の市町村では一万平米以上に限定されています。事業所税は中小零細事業者の負担に配慮し、中小企業、ベンチャー企業のほとんどは課税対象外となっています。
今回の都市再生促進の名による不動産取得税の大幅な軽減、特別土地保有税の凍結、新増設に係る事業所税の廃止は、大企業や一部の大資産家に対する減税措置以外の何物でもなく、特別土地保有税の凍結に至っては、これまでの政府の説明に照らしても支離滅裂であることも明らかになりました。しかも、その減収が地方自治体に押し付けられ、地方財政の危機を一層深刻にすることは明瞭であり、断じて認められません。
以上、反対理由を申し述べました。
最後に、日本共産党は、税制の民主的改革を目指すとともに、引き続き住民本位の地方自治の拡充に全力を尽くすことを申し添えて、反対討論といたします。
このほかの討論 → 【討論一覧】(156通常国会 2003年 1/20〜)
【総務委員会の質問と討論の一覧】 【3月20日(木)の質問一覧】
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