私は、日本共産党を代表して、産業再生機構法案及び関係整備法案並びに産業再生法改正案に対する反対討論を行います。
産業再生機構法案と関係整備法案に反対する理由の第一は、産業再生機構が、過剰債務企業に対する銀行の債権を政府保証の資金で買い取ることにより、本来銀行が負うべき企業再生のリスクを肩がわりし、最終的に損失が出れば公的資金で穴埋めする仕組みになっているからです。
第二に、不良債権処理加速策の一環として打ち出された産業再生機構は、銀行に対して過剰債務企業の選別、切り捨てを迫るものだからです。産業再生どころか産業破壊になりかねないものです。
第三に、産業再生機構が再生支援する企業においても強力なリストラが推進され、ここでも労働者、中小企業に犠牲が押しつけられることになるからです。
なお、自民、民主、公明、保守新党四会派提出の修正案は、以上に指摘した問題点を解決するものではなく、賛成できません。
さらに、産業再生法改正案に反対する理由の第一は、企業のリストラ計画を政府が認定、支援する事業再構築計画の制度を延長するものだからです。産業再生法施行以来三年半近くの間に、七万人以上の人減らし、リストラ計画が認定され、その支援のために五百億円以上も減税されてきました。このような制度の延長など、認めることはできません。
第二に、共同事業再編計画を新設し、リストラをさらに大規模化し、労働者、下請中小企業の生活と営業の破壊、地域経済の疲弊を加速するものだからです。
第三に、認定企業に対する優遇税制の対象を、政令で拡大できるようにしたことです。しかも、実際に拡大される対象には、退職金の割り増し部分まで含まれています。企業の税負担を軽減し、人減らしそのものを国が支援することなど、到底許すことはできません。
なお、自民、民主、公明、保守新党四会派の修正案は、施行日を変更するだけでなく、改正法施行前の段階から認定計画の先取り的実施を容認するものであり、認められません。
不良債権処理により過剰債務企業を切り捨て、銀行の収益性が改善したとしても、産業再生法を活用したリストラ、人減らしで個々の企業が業績を回復したとしても、失業、倒産が増大したのでは日本経済全体を冷え込ませてしまいます。
不良債権処理加速策を撤回し、日本経済の主役である中小企業の経営を支え、国内総生産の六割を占める個人消費を温める政策に転換してこそ、経済再生の道も開かれることを改めて強調して、討論を終わります。(拍手)
このほかの討論 → 【討論一覧】(156通常国会 2003年 1/20〜)
【経済産業委員会の質問と討論の一覧】 【3月19日(水)の質問一覧】
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