日本共産党

2003年度公債特例法案・所得税法改悪案に対する反対討論

2003年3月3日 衆議院 財務金融委員会 日本共産党 吉井英勝議員

 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、日本共産党を代表して、政府提出の二〇〇三年度公債特例法案及び所得税法等一部改正案の両案に対し、反対の討論を行います。

 まず、公債特例法案についてです。

 来年度の赤字国債発行額は、当初予算としては過去最高の三十兆二百五十億円、国債依存度は戦後最悪の四四・六%となるなど、記録ずくめの異常な国債発行です。これは、小泉内閣が発足以来のこの二年間進めてきた構造改革によって、すべての経済指標が悪化し、税収不足、国債増発の悪循環に陥ったためです。本法案による巨額の赤字国債発行は、まさに小泉内閣の構造改革路線の破綻を象徴するものであります。

 しかも、小泉内閣は、この失政のために、みずから立てた経済目標の修正を余儀なくされ、財政再建の見通しも持てず、財政危機を国民負担増で糊塗する路線をさらに暴走しようとしています。これは、不況深刻化、税収不足、国債増発の悪循環を加速し、財政再建を一層困難にするものであり、容認することはできません。

 次に、所得税法等一部改正案についてです。

 本案に反対する第一の理由は、経済危機の中で、配偶者特別控除の原則廃止、酒・たばこ増税、消費税の中小事業者特例縮小などの制度増税によって、地方税を合わせ一兆七千億円もの国民負担増を押しつけるからであります。これが社会保障改悪の負担増と相まって、冷え込んだ家計消費に追い打ちをかけ、景気悪化を一層ひどくすることは必至です。中でも、消費税免税点の大幅引き下げ、簡易課税制度の縮小は、今でも消費税を価格に転嫁できずに損税を強いられる多数の中小零細業者、農家などの経営実態を無視した改悪であり、中止を求めます。

 第二に、政府がしきりに強調する研究開発・IT投資減税、金融・証券減税、相続税・贈与税減税などを中身とする先行減税は、専ら大企業を中心とした勝ち組企業と資産家だけに恩恵をもたらすもので、景気対策には何ら役立たないからであります。さらに、今回の多年度税収中立なるものの実態は、七年間に庶民と中小企業から九兆円以上を奪い取って、大企業と資産家に配分するものでしかありません。

 反対する第三の理由は、本案が小泉内閣の進める抜本的税制改悪の第一弾に位置づけられるからであります。

 配偶者特別控除の上乗せ部分廃止は、戦後初の本格的な所得税増税であり、今後の所得税の課税最低限引き下げの第一歩です。また、消費税の中小事業者特例の縮小は、消費税率引き上げに向けた条件づくりにほかなりません。戦後つくられてきた、直接税中心、総合累進課税、生活費非課税など、税制の民主的原則を根本から破壊する小泉税制改革の「あるべき税制」は、到底認められないものであります。

 本改正案には、NPO支援税制の改善策や住宅ローン減税の再適用など、賛成できる項目も一部ありますが、以上の看過できない改悪を柱としており、全体として反対いたします。

 なお、民主党提出の修正案については、酒・たばこ増税や消費税の内税方式を削除することなど、それ自体に限れば賛成し得るものでありますが、これだけでは政府案のひどい中身を抜本的に修正するものにはならないものであり、全体としては賛成するわけにはいきません。

 最後に、両案は、国会法第五十一条が総予算と並び公聴会開催を義務づけた、慎重審議を必要とする重要な歳入法案であります。かつての大蔵委員会は
、一九七二年から九三年までの二十年以上の間、公聴会に準じた参考人質疑はもちろん、当時の佐藤総理から宮澤総理に至る十一人の歴代総理大臣が出席して審議してきました。抜本的な税制の変更など、歳入法案の重要性にかんがみ、審議の重大さを考えた運営を委員長に求めて、両案に対する私の反対討論を終わります。(拍手)

このほかの討論 → 【討論一覧】(156通常国会 2003年 1/20〜)

財務金融委員会の質問と討論の一覧】 【3月3日の質問一覧


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