独立行政法人 国立病院機構法案に 反対する討論

井上美代議員 参議院 厚生労働委員会 2002年12月12日

 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人国立病院機構法案に反対する討論を行います。

 反対理由の第一は、この法案は国が責任を負うべき政策医療を後退させかねない内容を持っていることです。
 独立行政法人は企業会計原則を適用すると独立行政法人通則法に定められています。独法化される百四十四施設は、病院経営に採算性が強いられることになります。結核や難病、重症心身障害、筋ジストロフィー、救急医療などの政策医療は、元々不採算医療であり、効率化になじむものではありません。

 反対理由の第二は、独立行政法人化は、国立病院の廃止や民営化を促進する危険性があることです。

 国立病院特別会計には、一九九四年当時一般会計からの繰入れは二千五百八十八億円でしたが、国家財政の悪化を理由に、二〇〇二年には千二百二十二億円と半減しております。今後、独立行政法人化することで採算性や効率を優先することにより、国庫からの繰入れはさらに引き下げられようとしております。中期計画で立てた経営改善計画が達成できない場合、病院組織の廃止、民営化に追いやられる危険性があり、国の医療への責務を一層後退させかねません。

 反対理由の第三は、独立行政法人に移行する際に、賃金職員の身分を継承する保障がないことです。

 国立病院には、七千五百七十三人もの賃金職員が病院運営に必要な人員として働いております。定員外となっているのは、道理のない定員削減政策によるものです。そもそも、賃金職員は独立行政法人に移行する前日ないしは前々日に雇用契約が途切れることとなり、新たな雇用契約をしなければ身分継承ができなくなります。ところが、厚労省は、賃金職員の身分については法人が判断するという態度に終始し、これまで国立病院の運営を支えてきた賃金職員の雇用に何ら責任を持とうとしておりません。独立行政法人が効率化を理由に、一方的な雇い止めあるいは賃金切下げを行うことに歯止めがないことは余りにも重大です。

 国民の命と健康を守ることは政治の根幹です。国立病院が国民医療の担い手として、それにふさわしく発展することこそ政治に求められる施策であることを強く指摘して、反対討論といたします。


* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
   特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。

*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。


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