私は、日本共産党を代表して、構造改革特別区域法案に対し反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、これまでの経済的規制緩和に加えて、国民の生命、健康、環境などを守るための規制を構造改革特区を突破口に緩和、撤廃しようとしていることです。
法案は、株式会社の農業経営への参入を認めています。これは小規模農家を優良農地から締め出し、価格競争によって農業経営を苦境に追い込むものです。日本農業の困難は、政府が進めてきた農産物の輸入自由化、価格支持政策の廃止などにあります。
また、特別養護老人ホームに株式会社の参入を認めていることは、入所者のサービス低下につながります。
病院や学校への株式会社の参入を進め、刑法の賭博罪に当たるカジノ特区まで検討しているということが明らかになりました。国民の生命、身体、健康、公序良俗、消費者保護の規制まで緩和、撤廃しようとしていることは重大であり、到底認めるわけにはいきません。
第二は、構造改革特区は、関連分野として従来の公共事業を一体で進め、新たな浪費、地方財政危機を深刻にするものとなるからです。
国際物流特区構想は、規制緩和と関連する大水深バースの建設、関連道路などの基盤整備などを行うことになっています。政府は、特区には財政措置を講じないとしていますが、国土交通省の来年度予算概算要求では、構造改革特区を支える基盤整備のために必要な連携事業を強力に進める費用として二千五百億を要求しています。このように特区構想の関連分野の事業に予算が配分される仕組みを作り、見直すべき公共事業も推進されることになります。これでは新たな公共事業の浪費を作り出し、地方財政危機を一層深刻にするものです。
最後に、構造改革特区は地域経済の活性化につながらないばかりか、住民への負担と犠牲を一層強めることになるからです。
政府は、構造改革特区を設けて規制緩和を行うことが地域経済を活性化しデフレ対策になるとしています。しかし、小泉内閣の総合デフレ対策の中心は不良債権処理の加速であり、地域経済を支えてきた中小零細企業の倒産、リストラ、失業を一層増大させ、地域経済に大きな打撃を与えるものです。日本経済を疲弊させている原因は、規制緩和の遅れにあるのではなく、医療始め社会保障の連続改悪など、国民負担を増やす小泉構造改革そのものにあります。
私は、規制緩和万能主義ではなく、国民生活や中小企業の営業を守るための民主的規制は逆に強化するなど、今の社会に合ったルールを確立することを求め、反対討論を終わります。
* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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