この三法案は、全て住基ネットの運用に土台をおいている点で九九年の改正住基法と一体のものであると同時に、審議の中でも政府が明言している住基ネットの利用の際限のない拡大計画の不可欠な一段階となっているものです。広範な国民の世論にも九九年当時の首相答弁にも反する住基ネットの運用開始を強行してから、わずか四ヶ月しかたっていない今、このような形で、新たなステップへと足を踏み出すことを、とうてい認めることはできません。
日本共産党は、電子自治体や電子政府の意義を否定するものではありません。しかし、仮にこれをすすめるのであれば、個人情報の分散化を大前提として、マッチングの手がかりとなる統一的なコードはつくるべきではありません。わが党は、中央集権型のオンライン化には、断固として反対の立場に立つものです。
それは第一に、これが個人情報の民間への漏洩と不正利用の危険を極度に増大させることになるからです。万一、指定情報処理機関への侵入があれば、全国民のプライバシーが根こそぎ盗み取られてしまいます。そうでなくとも、コードのついた四情報が流通する範囲が増えれば増えるほど、漏洩の危険も大きくなることは、自明の理ではありませんか。
第二に、こういう方向での情報化が、公権力に対して国民のプライバシーが丸裸にされる監視社会への道につながりかねないからです。政府は、取り扱いは法律に明記された事務に限られるとしていますが、昨今の不祥事の連続の中で、こうした説明を額面通りに受け取る国民がどれだけいるでしょうか。また、本来地方自治体の固有の業務である住民基本台帳のデータが、個別地方自治体による裁量の余地が全くない形で、指定情報機関から中央省庁に提供されることは、住民自治の原則とも自己情報コントロールの権利とも相容れないものだと言わなくてはなりません。
以下、個別の法案に関わる反対理由を申し上げます。
行政手続きなどの情報通信の技術の利用に関する法律案は、以上述べたような住基ネットの運用を前提とした法案であると同時に、総合行政ネットワークによって、住民の個人情報を含む行政情を民間機関の管理に委ねる道が開かれるという問題を含んでおり、認めることはできません。
同法の関係法整備法案は、まさに住基ネットの利用事務を現行の九十三事務から一挙に二百六十四事務、三倍近くへと拡大するものであり、論外と言うべきです。
電子署名に係る地方公共団体の認証業務にする法律案は、これ自体が住基ネットの新たな利用事務になると同時に、住民票コードの不正利用に関連して悪用される可能性がある「変更情報ファイル」を多数の民間機関の手に渡すことになるものです。公的な認証制度を作るのであれば、住民票コードや住基ネットと完全に切り離したものにすべきです。
なお、本日、この法案の討論と裁決が強行されようとしていることに、あらためて抗議をするものです。
そもそも九九年の改正住基法は、対総理質疑を含む衆議院だけでも二ヶ月間の委員会審議と参議院本会議での2日間に渡るきびしい与野党対決を経て強行されたものです。その際の議論を根本から覆す重大な政府答弁が続出しているような審議を、わずか二回の質疑で終わらせることができないのは、当然ではありませんか。理事会の場でも、審議の続行を要求したのはわが党だけではありませんでした。それを正規の理事を占める一部会派だけの意見で打ち切るばかりでなく、私の「質疑終結については委員会の場で採決を求める」という最低限の要求さえ封殺したのです。
このような委員会運営そのものにきびしく抗議して反対討論といたします。
* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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