一般職給与法等の改正案に反対、特別職給与法等の改正案に賛成の討論

 宮本岳志議員 参議院 総務委員会 2002年11月14日

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております一般職給与法等の改正案に反対、特別職給与法等の改正案には賛成の討論を行うものです。

 一般職給与法改正案に反対する理由の第一は、これが小泉内閣の、ゼネコン奉仕の無駄な公共事業など財政赤字の根元には一切手をつけないままで、国民にだけ痛みを強いている「逆立ち政治」の一環だからです。

 今、小泉内閣が社会保障分野ですすめている三兆円の負担増、国民と中小企業への増税計画によって、長引く不況は一段と深刻さをまし、まったくその出口すら見えないという状況になっています。そこへさらに、この公務員給与の引き下げにを押しつけることは、人事院が公式に認める七四〇万人ばかりでなく、年金受給者や民間企業の賃金水準にも波及するものであり、これによってGDPが0・1〜0・2%押し下げられるという試算も示されています。国民の消費の拡大による不況の打開が痛切に求められているときに、このような大規模な給与所得の減少が、日本経済に取り返しのつかない結果をもたらすことは明らかではありませんか。それにもかかわらず敢えてこれを強行しようとしている小泉内閣には、日本経済の舵取りをする資格も能力もないと言わなくてはなりません。

 反対理由の第二は、これが、国家公務員、地方公務員の生活向上の願いに背くばかりでなく、既に述べたように広範な国民の所得の低下をもたらすからです。公務員給与が下がっているという事実が、広範な民間企業の賃金水準に波及すれば、それは、さらに後の年度の官民比較調査に反映することにもなり、昨今の経済環境のもとでは、公務と民間の、際限のない賃下げの悪循環をもたらしかねないものです。

 日本共産党は、公務員労働者の生活を守る立場からも、国民全体の所得の向上をめざす立場からも、このような賃金抑制政策を容認することはできません。

 反対理由の第三は、これまでの支給済みの給与の民間との「較差」分を十二月期末手当から差し引くという「調整」の手法が、「不利益不遡及の原則」に触れる脱法行為だからです。この問題は、法律論としても重大であるばかりでなく、人事院制度の根幹に関わる原理原則が問われる問題でもあり、とうてい看過できないものです。

 なお、特別職の給与は一般職に比べて高額の水準にあり、従来からこれ以上の引き上げには反対との態度をとってきました。その経緯を踏まえて、法案には賛成するものですが、事実上の「不利益の遡及」となる措置には同意できないことを、明確にしておきます。

 民主党および社民党提出の修正案は、問題の十二月期末手当による「調整」を削除するものですが、来年三月末を期限として年間の官民較差の「均衡を図る」ために「必要な措置を講ずる」ことを政府に義務づけるものであり、厳密には、不利益変更の遡及がなくならないものです。しかし、この点について労使で話し合う場を設けることの意義は認められるため、敢えて反対はいたしません。

 最後に、今後も日本共産党は、国民本位の公務員制度の確立と、公務員が安心して働ける労働環境の実現、公務員の生活の擁護のために努力を続けることを申し添えて、討論といたします。


* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
   特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。

*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。


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