私は日本共産党を代表して、与党三党提出の「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案」に反対し、民主党案に賛成する立場から討論を行います。
与党案に反対する第一の理由は、本法案が、「有明海及び八代海を再生する」目的の法案ならば、まず行わなければならないはずの、有明海・八代海の環境悪化を引き起こした根本原因への究明と対策への方向付けが明確でなく、諫早湾干拓事業をはじめとするこれまでの開発行為を反省・改善する方向を何ら示していないことです。特に、有明海の環境破壊と水産資源減退を引き起こした重要な原因である諫早湾干拓事業の抜本的見直しに背を向けていることは重大です。諫早湾干拓事業が諫早湾のみならず、有明海全体の環境に影響を与えている原因であることは、昨年十二月の農水省有明海ノリ不作等対策調査検討委員会でも明確に裏付けられています。環境再生の中心的眼目である諫早干拓の中止と徹底的な影響調査、抜本的な見直しが欠けた法案は、実効性がないだけでなく、再生のための干拓見直しという焦点をぼかすものであり、賛成できません。
第二の理由は、法案が将来にわたる開発行為の規制がないまま、各種の公共事業の重点実施を促進している点です。法案では、県が行う各種公共事業について地方債への配慮等、予算・事業の重点配分をうたっています。これらの公共事業の中には当然必要なものもありますが、各種事業が環境への影響を考慮せず実施されるならば、逆に環境保全・水産資源の回復にマイナスになりかねません。環境破壊・水産資源の枯渇に結びつく開発行為については、将来にわたって規制すべきです。
なお、与党案に対する修正案では、調査内容の具体化、水質汚濁負荷量の総量削減に資する措置の追加及び有明海・八代海総合調査評価委員会の設置を加えるとしていますが、有明海の環境悪化の最大の原因である諫早湾干拓事業の中止に何も触れるものではありません。総量規制は望ましいことではありますが、その効果を上げるためには一刻も早い諫早湾干拓事業の中止が必要であり、有明海の再生につながる修正案ではない以上、賛成できません。
以上をもって、討論といたします。
* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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