日本共産党を代表して、「母子及び寡婦福祉法等の一部改正案」に反対の討論をおこないます。
本改正案は、今年度予算で実施された児童扶養手当の所得制限の大幅切り下げ、寡婦控除の除外などの改悪を、さらにすすめるものです。
反対の第一の理由は、児童扶養手当の支給を、これまでは「十八歳の年度末まで」であったものを、支給五年後には半額に削減できるなど、支給削減が強化されることです。
母子家庭の母親の九割は就労しています。しかし、平均年収は約二百三十万円にとどまり、これは、一般世帯の三分の一程度です。その七割が受給している児童扶養手当は、まさに母子家庭にとって、なくてはならない「命の綱」となっています。この手当の支給を削減することは、男女賃金格差や劣悪なパート労働をはじめとした厳しい諸条件のなかで、必死に生きようとしている母子家庭の現実をかえりみない、無慈悲な仕打ちであると断ぜざるをえません。参考人質疑において、多くの参考人がこの点にふれたのも当然であります。五年後の削減措置を撤回し、「十八歳の年度末まで」の支給を保障するよう、強く求めるものです。
第二の理由は、母子家庭にたいする十分な自立支援策がとられないまま、「自立自助」を押し付けていることです。
本法案では、国や自治体による就労支援や夜間保育の拡充などの「自立支援策」がとられますが、母子家庭の母親が直面しているきびしい社会・経済環境を改善するのに十分ではありません。しかも、就労事業では支援「できる」という行政の努力義務規定にとどまっており、どこまで実効性が担保されるか、はなはだ疑問であります。さらに、就労支援策の効果について「やってみないとわからない」という答弁は、きわめて無責任といわざるをえません。
第三の理由は、養育費を履行させるための努力義務を、事実上、母子家庭の親に押し付けていることです。
親の扶養義務や養育費の支払義務を明記することは当然です。しかし、父親の養育費の支払を、養育する母親の努力に任すことは、必要以上に母親の負担を大きくするものです。養育費の支払義務が履行されない場合の救済などの制度的保障こそが必要であります。
最後に、本改正案が、すべての母子家庭児童の健やかな成長に必要な条件整備と、母親の健康で文化的な生活を保障するという、本来の児童扶養手当の性格を大きく変質させるものであることを厳しく指摘して、反対討論とします。
* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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