私は、日本共産党を代表して、政府提出の国家公務員一般職の給与法改正案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、今回の法案が深刻な不況に追い打ちをかけ、デフレ克服に水を差し、日本経済に大きなマイナスをもたらすからであります。
今回の大幅賃下げは、七百五十万人の労働者に直接影響を与えるだけでなく、年金給付減や民間労働者の賃下げにもつながるもので、まさに賃下げの悪循環を招くことになります。GDPを〇・一から〇・二%押し下げるとの試算もあるように、本法案の強行は、社会保障改悪や増税、そして不良債権処理の名による中小企業つぶしと並び、個人消費を押し下げ、日本経済に取り返しのつかない否定的影響を与えることは火を見るより明らかであります。断じて容認できません。
第二は、十二月の期末手当から四月以降の支給済み給与を調整と称して差し引くことが不利益不遡及の原則に触れる脱法行為であるからであります。
この問題は、法律論としても重大であるばかりでなく、人事院制度の根幹にかかわる原理原則が問われる問題でもあります。このような脱法行為を労働者との話し合いもせずに強行することになれば、争議権、労働協約締結権を剥奪されている国家公務員労働者の労働基本権の代償措置としての人事院勧告制度をみずから否定するものと言わざるを得ません。断じて認めることはできません。
なお、特別職の給与は一般職に比べて高額の水準にあり、一般職の給与法とは同列に論じられないことは明らかです。よって、法案には賛成するものですが、不利益不遡及の原則を逸脱する部分は同意できないということを改めて明確にしておきたいと思います。
民主党、社民党提出の修正案は、不利益不遡及の原則に立って、実質的な四月遡及を削除し、労働者との話し合いを義務づけるものであり、当然賛成できるものであります。このことを申し上げまして、討論を終わります
* 討論は、通例、採決に際して、賛否の違う場合、各会派がその態度と理由などを述べます。
特に、反対会派が、反対の理由、法案の問題点について述べます。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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