私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております郵政関係の四法案に反対の討論を行うものであります。
まず、私は、いまだ審議が尽くされていないという私たち日本共産党の反対を押し切って委員会での採決が行われることに強く抗議をするものであります。衆議院では不十分とはいえ約五十時間の委員会質疑が行われています。参議院では実質二十時間そこそこであります。衆議院での修正を踏まえて、政府提出の法案と修正の内容をともに検討するべき参議院での審議が衆議院での審議時間を大きく下回ってよいはずはありません。
しかも、参議院では、法案審議の前提にかかわる根本的な問題が提起をされています。その一つは、公社が発足時から債務超過となるという可能性です。我が党は、法案を郵政事業庁の決算資料に適用すればその疑いが濃いのではないかと指摘をいたしました。企業ならば倒産しているというべき状態からでも公社を発足させることができるのかという根本問題に、総務省はいまだに回答を留保したままで今日を迎えているのであります。
二つには、この法案を最善のものとして国会での審議にゆだねる一方で、小泉内閣が四法案の不十分点の洗い出しなど、公社発足後の民営化の具体的なビジョンづくりに取り組んでいるということです。報道されたような検討が実際に行われたことを総務省は認めましたが、詳細を明らかにすることをかたくなに拒んでいます。この解明にどうしても必要な総理の委員会出席も拒否されたままで採決を迎えようとしています。これでは、法案を採決できる道理がないではありませんか。
以下、四法案に反対する理由を述べます。
その第一は、総理も一里塚と言うように、四法案全体が郵政三事業の民営化へ向けた地ならしをするものであるからです。
国庫納付に関する条文の修正で、公社は発足時から十兆円ないし十五兆円を目指して内部留保を蓄積していくことが明白になりました。これは事実上、民営化の準備のために十兆円規模の国民負担を求めるものと言わざるを得ません。
一方で、ユニバーサルサービスを守りながら民間参入を進めるとの看板を掲げた信書便法案をよそに、政府は、信書便法施行法案に書かれた信書の定義に関するガイドラインという方法で、裏口から民間参入の方針に転じました。このような無原則的な対応で、民間事業者によるクリームスキミング、いいとこ取りを防げるはずはありません。経営の圧迫要因になる措置をあえて取りながら、同時に巨大な内部留保をため込むことは、いわゆる公共的責務の放棄とサービス水準の切下げに進むしか道はありません。そのことは、三種、四種の政策料金、とりわけ盲人用無料郵便について、法文からの無料規定の削除にあくまで固執した政府の態度にもはっきりと表れています。
結局、本法案は、経営の自由度の名の下に公共的責務による縛りをなくし、民営への移行に都合のよい形態で公社を発足させるものにほかなりません。
反対理由の第二は、国民の願う郵便事業の改革に背を向けて、いわゆる郵政ファミリーの利権構造と天下りを温存するばかりか、一層拡大するものとなっているからです。
さらに、衆議院では、法案に出資条項を付け加える修正も行われました。これは、従来、公益法人を使うなどの脱法的な手法で行われてきたファミリー企業づくりを自由化するものであり、到底容認できないものです。
加えて、効率化という名の下に、労働者のリストラや労働条件低下の危険性があるものです。
この委員会で何度も問われた、だれのための法案か、何のための法案かという問題、審議は尽くされていませんが、国民のためでないことは明らかです。民間大企業、大銀行に新しいもうけ口を保障、古い利権は温存、拡大をし、ユニバーサルサービスと国民の利便の後退につながるのが四法案です。
この委員会に招いた参考人も、新潟県での意見交換会でも、この法案を歓迎する人はだれ一人もありませんでした。このような国民にとって百害あって一利なしの四法案に強く反対することを申し上げ、討論を終わります。(拍手)
参院本会議での日本共産党の反対討論は、参院議運理事会で与党が封殺。7/24付け「しんぶん赤旗」をご参照ください
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります
第154国会の「しんぶん赤旗」の主な記事→【1〜3月】 【4月〜】
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