ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法案に対する発言(賛成) 衆議院 厚生労働委員会 瀬古由起子議員 2002年7月17日

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 日本共産党は、この法案に対して、ホームレスの人々の直接支援とホームレスに至らないための施策を国の責任としたこと、就業機会の確保を緊急、抜本対策として位置づけたこと、国の基本計画、都道府県の実施計画などの策定を義務づけている点で評価できると考えています。
 しかし、この法案には、不十分な面や、ホームレスの人々に対しての人権上の規定も危惧されている点が幾つかございます。したがって、私たちは、この法案を十分審議しないまま委員長提案とすることは問題があると考えております。
 与えられた時間は五分でございますけれども、どうしても確認したい点があるので、まとめて伺います。
 第一に、第二条のホームレスの定義の問題ですが、支援法にふさわしく国等の果たすべき責務を明らかにすることを前提にすべきであり、やむなく公共の場で野宿しているのに、あえて「故なく起居の場とし、」としたことは、不法に公共施設を占拠した法違反者という認識でこの法が適用されかねません。少なくとも、諸外国でも採用している広義の定まった住居のない人、もしくは民主党案にあった「野宿生活者その他安定した居住の場所を有しない者であってこれに準じるもの」となぜ提案できなかったのでしょうか。
 第二番目には、第十一条、公共の用に供する施設に関して「適正な利用を確保するために必要な措置をとる」としていますが、現行法でも対応が可能であり、むしろ野宿を強いられない制度、環境をつくろうとして今回の法案が提出されたのではないでしょうか。今でも、説得の名のもとに、事実上排除が強まっております。十一条の定義では、違反者を追い出すための条項と受け取られかねず、支援法にはなじまないと思うので削除すべきではないかと思います。
 第三に、財政的な裏づけについて施策実施の財政規模はどのぐらいを考えているのでしょうか。財政上も国の責任を明らかにするべきであるのに、第十条は義務規定ではなく努力規定としたのは一体なぜでしょうか。
 以上、質問いたします。
長勢委員 御答弁申し上げます。
 まず、第一の質問でございますが、第二条におきまして、ホームレスを「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と規定いたしましたのは、ホームレスについての一般的な実態を過不足なくより適切に表現していると考えた次第であります。
 また、「故なく起居の場所とし、」と規定いたしましたのは、災害等により住居を失い、公園等に設置された仮設住宅に身を寄せておられるような正当な理由により公共的施設を起居の場所として利用している方が含まれないようにするためであります。
 第二の質問でございますが、この法律は、ホームレスの自立の支援等に関し必要な施策を講ずることにより、ホームレスに関する問題の解決に資することを目的としております。ホームレスに関する問題といたしましては、ホームレスにより公共施設の適正な利用が妨げられ、地域社会とのあつれきが生じつつあることもまた事実であります。
 そこで、現行法令の規定に基づき公共施設の適正な利用を確保するために必要な措置を講ずることは可能でありますが、御指摘のとおりホームレスに関しては、単に排除するということだけでは問題の解決につながらないことから、公共施設の適正な利用を確保するために必要な措置はホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ行われるべきことを特に明記したものであり、ホームレスの自立の支援等を柱とするこの法律に規定する意義は十分にあると考えております。
 第三の質問でございますが、財政規模についてのお尋ねでございます。
 ホームレスの自立の支援等に関する施策を推進するためには、財政上の措置が十分に確保されることが必要であると認識しております。
 現段階で財政規模について確たることを申し上げることはできませんが、この法律が施行されることによりこれまで以上に政府において必要な財政上の措置を講じていただけますよう、私どもも取り組んでまいりたいと思います。
 また、基本法以外の法律においては、財政上の措置について努力義務規定として規定することが通例であることも参考にいたしました。
 もとより、このように努力義務として規定したからといって、国の財政上の責任が免除されるわけでないことは明らかでございます。
 以上でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。(瀬古委員「委員長」と呼ぶ)
森委員長 以上で発言は終わりました。
 この際、お諮りいたします。
瀬古委員 まだ五分たっていないんです。委員長、一言。最後に一言言わせてください。やりとりできるというふうに聞いているんですけれども。一言だけ言わせてください。一言だけでいいですから。
森委員長 特に許します。瀬古君。
瀬古委員 一言だけ言います。
 今の答弁では、本当に不安、野宿者の皆さんの、そして支援者の皆さんの不安にこたえていないというふうに思います。
 それで、きょう私の方は時間の制限がありますので、私の質問全文を皆さんにお配りいたしました。ぜひ提案者の皆さんには、関係者の皆さんが安心できるように、後ほど誠意を持ってお答えいただきますように要望して、私の発言といたします。
 ありがとうございました。


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