自動車リサイクル法案に対する反対討論 参議院 経済産業委員会 西山登紀子議員 2002年7月4日

 私は、日本共産党を代表して、使用済自動車の再資源化等に関する法律案に対して、反対の討論を行います。
 使用済自動車の処理問題は、最終処分場の逼迫や市場任せでうまくリサイクルが進まない状況となっており、極めて深刻です。この問題を抜本的に解決していくためには、環境に負荷を掛けない社会と経済の在り方が問われており、とりわけ三Rと地球温暖化の防止の観点に立った対策が求められています。
 本法案に反対する理由の第一は、自動車製造業者等の役割について、拡大生産者責任に基づくとしながらも、自動車製造業者等は使用済自動車の再資源化過程で取り出されるフロン類、エアバッグ、ASRの三品目を、解体業者らが持ち込めば引き取るというだけ、それ以外の七割は、廃タイヤも含めて、従来どおりの市場原理にゆだねるものだからです。OECDのEPR、拡大生産者責任が示しているように、製品ライフスタイルの使用後の段階まで拡大される環境政策アプローチに携わり、生産から廃棄物になった後まで責任を持つ立場ともほど遠いものです。
 反対理由の第二は、使用済自動車の再資源化に要する費用のすべてを、別枠でユーザーに負担させ、自動車製造業者等は一切負担しないからです。
 リサイクル料金について、妥当性を担保できるものでなく、むしろ固定化するマイナス面さえ危惧されるものとなっています。メーカーが費用負担を行ってこそ、廃棄物の減量化、再資源化しやすい設計などを考慮するインセンティブは働きます。ところが、本法案は、費用負担をしないばかりか、徴収、管理、税金の苦労をメーカーから免罪するための一兆円を超える資金を持つ巨大法人を作ります。これは天下りの温床となる懸念やその運用に多くの問題をはらんでいます。
 反対理由の第三は、熱回収を再生利用と同列に置き、循環型経済社会形成推進基本法に定められたマテリアルリサイクルを優先する原則をゆがめるものであるからです。
 反対理由の第四は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなどの使用について、業界の自主規制に任され、規制措置を取っていないからです。
 最後に、自動車産業が二十一世紀もなお発展し続けることを展望するのであれば、当面の利益に目を奪われるのではなく、本当の意味でのメーカーの拡大生産者責任の具体化が不可欠の課題であることを指摘して、反対討論を終わります。


 【討論・発言インデックス


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