私は、日本共産党を代表して、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
反対理由の第一は、産業廃棄物処理は排出者の責任で処理すべきことは現行法にも明記されている大原則であります。ところが、本案では、民間活力の名の下に、事業者に対して税制優遇や公的資金がつぎ込まれることになっていることであります。
また、本法案による産廃施設等の事業者に対する貸付資金の財源が国債の償還のために積み立てているNTT株の売却収益からの流用であることも重大であります。これは、国債の増発と変わらない隠れ借金による予算の膨張として、厳しく批判されているものであります。
反対理由の第二は、ごみの量を減らすという国民の声や世界の流れとは逆行するものだからです。その処分場対策を進めようというわけであります。本法案は、今後も引き続き産業廃棄物や建設発生土の大量排出を前提としています。内閣府が行った世論調査でも、ごみ問題で国が最も重点的に対応すべきことは、リサイクルや焼却以前の問題として、まずごみの排出を減らすことに取り組むべきだというものであります。何よりもごみを出さないようにする対策が圧倒的な国民の声であります。
ところが、政府の廃棄物対策は、産業廃棄物が今後も引き続き増加することを前提としているだけでなく、小泉内閣の看板施策の一つである都市再生では、大型公共事業や民間都市開発などによる建設廃棄物の大量発生、これを伴うものがメジロ押しであります。本法案はそのための対策ではないでしょうか。
第三に、本法案によって進められようとしている溶融炉は事故の危険性と隣り合わせの施設であります。その安全性やダイオキシン問題はいまだに解決されていないものです。その技術は完成されたものではなく、その推進について国民的な合意は形成されていません。例えば、一月二十三日に十人の重軽傷者を出した愛知県東海市での溶融炉爆発事故は、炉の中の中心部の温度を確認する設備もない、そういうものであって、作業手順のミスだけではなくて、溶融炉の構造上の技術が未完成であることを象徴しています。
最後に、産業廃棄物対策の根本は、まず廃棄物を出さない対策を行うことであります。しかし、ゼロにはできないとすれば、第二段階として最大限の再利用を行うことであります。これらのことは排出者の責任で行うべきであります。その推進こそ政府の使命であることを指摘し、討論を終わります。
以上であります。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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