私は、日本共産党を代表して、使用済自動車の再資源化等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
使用済自動車の再資源化問題は、いわゆる廃車の処理をいかに効率的に進めるかという課題だけではなく、我が国の経済活動の中に循環型社会の実現に向けた企業行動のあり方を正しく位置づけることであり、その課題の実現のために、自動車などの製造業の果たす責任と役割、影響は大変大きいものがあることを指摘したいと思います。
この立場から、今や国際的な合意になっているEPR、拡大生産者責任を具体化していないために、先行して制定された容器包装リサイクル法や家電リサイクル法が、十分な効果が上がらないばかりか、悪化していることも質問の中で明らかにしました。本法案は、これらの法律の経験と教訓を踏まえて制定されなければなりません。
本法案に反対する理由の第一は、本法案について、政府は、拡大生産者責任を具体化したものと説明しておりますが、製品に対する製造業者の物理的及び、もしくは財政的責任が、製品ライフサイクルの使用後の段階まで拡大される環境政策アプローチという、本来のEPRとは全く異なるものであるからであります。
自動車製造業者等は、使用済自動車の再資源化過程で取り出されるフロン類、エアバッグ、ASRの三品を、あらかじめ指定した場所に解体業者が持ち込めば引き取るというだけのものであり、生産から廃棄物になった後まで責任を持つ立場には立っておりません。
反対理由の第二は、使用済自動車の再資源化に要する費用のすべてを別枠でユーザーに負担させ、自動車製造業者等は一切負担しないからであります。このような仕組みでは、自動車製造業者等が、廃車処理における廃棄物の減量化、再資源化しやすい設計などを積極的に考慮するインセンティブは働きません。
反対理由の第三は、熱回収を再生利用と同列に置き、循環型社会形成推進基本法に定められたマテリアルリサイクルを優先する原則をゆがめるものであるからであります。
反対理由の第四は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなどの使用について、業界の自主規制に任され、規制措置をとっていないからであります。
最後に、自動車産業が二十一世紀もなお発展し続けることを展望するのであれば、当面の利益に目を奪われるのではなく、本当の意味での拡大生産者責任の具体化が不可欠の課題であることを指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります
第154国会の「しんぶん赤旗」の主な記事→【1〜3月】 【4月〜】
日本共産党国会議員のホームページ 衆議院議員 参議院議員 もご覧ください