エネルギー政策基本法案に対する反対討論 参議院 経済産業委員会 西山登紀子議員 2002年6月6日

 私は、日本共産党を代表して、与党提出のエネルギー政策基本法案に対して、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、一九九九年のジェー・シー・オー事故などによって高まった原発に対する国民的批判に対抗して、原発推進の電力会社の利益擁護を図り、原発、核燃料サイクル推進を後押しする法的根拠を与えるものだからであります。
 本法案には、原子力の字句が一切明記されていませんが、質疑の中で明らかになったように、基本的に原子力を推進することが日本のエネルギー政策の中で非常に重要な位置を占めているとの前提に立ち、原発を一層促進させることは明らかであります。
 第二は、地方公共団体に国の施策に準じて施策を講じる責務を負わせることにより、国策としての原発推進を自治体と住民に押し付けようとするものだからであります。
 スリーマイル島事故、チェルノブイリ原発事故に続いて、日本のチェルノブイリとすら世界に報道されたジェー・シー・オー事故などで、原発の安全神話は崩壊し、住民に大きな不安と衝撃を与えています。
 新潟県巻町、同県刈羽村、三重県海山町と三度の住民投票で原発推進派が敗れたことは、原発ノーという住民の意思の表れであります。
 本法案が、こうした住民の意思を尊重するどころか、封じ込め、自治体に原発立地や高レベル放射性廃棄物の最終処分場などの設置、実施などの責務を負わせることになり、断じて認められません。
 第三に、本法案は、地球温暖化対策として不可欠なエネルギー消費の低減など、省エネ、需要対策がなく、基本法の名に値しないからであります。
 京都議定書の批准国として、実効ある地球温暖化対策を進めるには、省エネルギー対策と再生可能エネルギー、自然エネルギーの抜本的な導入促進、自主的資源外交など、エネルギー政策を展開することこそ必要です。
 第四に、エネルギー政策の基本計画の決定を事実上政府に一任しているからです。
 発電コストの根拠開示など、情報公開が極めて不十分な現状を容認し、エネルギー政策の決定過程の民主化、国民的合意の形成を保障する仕組みを持たないことは問題です。
 以上が本法案に反対する理由であります。
 最後に、今求められているエネルギー政策は、化石エネルギーや原発への依存ではなく、地球温暖化対策、循環型エネルギー利用の促進の立場に立ち、省エネや自然エネルギーの抜本的な導入を促進しながら、原発からの段階的撤退を目指すべきことを表明して、反対討論を終わります。


 【討論・発言インデックス


*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
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