私は、日本共産党を代表して、教育職員免許法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
反対の理由は、第一に、派遣先の免許状を持たないまま、中学・高校教員を小学校などへ派遣するなど、教職の専門性の原則を大きく崩すからです。学校教育においては、教師の果たすべき役割が決定的です。教師には、教科についての高い専門性と、子供、青年の発達についての専門的知識が不可欠です。これをすべての教員に求めているのが現在の教育職員免許制度です。今回の法改正は、この原則を崩すものです。
第二に、そのような中学・高校教員の小学校などへの出向は、複数の学校を兼任することを可能とすることによって、教員に過重な負担を押し付けるとともに、子供たちの教育も困難にするからです。命縮める出向授業、専科教師にレンタル制などの批判が上がっています。先生に相談したいとき学校に先生がいない、ホームルームの時間なのに担任の先生がいないなど、安易な学校間兼務は、先生たちの負担が増えるだけでなく、学級経営も困難にします。とりわけ子供たちへの悪影響が危惧されます。
第三に、今回の法改正は、学力差を固定しかねない習熟度別授業を、他校種の教員の力をかりて行うことに道を開くからです。できぬ者はできぬままで結構という言葉どおりの教育となれば、教育基本法の言う「人格の完成」どころか、その破壊につながります。そうした習熟度別学習を常態化させれば、人間同士が協力し合い人間性をはぐくむという教育の大切な営みが破壊されます。
今やるべきことは、極端に門戸が閉ざされている新卒者を大量に採用して、専科教員の充実、少人数授業、少人数学級のための十分な人員配置をすべきであり、国の責任で三十人以下学級の実現に踏み出すことです。
第四に、特別免許状の要件緩和を進めて社会人教員を拡大し、教職の専門性を大きく崩すことや、免許状取上げの範囲を拡大し、教職員への管理統制を強化するものだからです。
以上、この法案は、教職の専門性を軽視し、教育の場における管理統制につながるものであり、法案に反対することを述べて、私の討論といたします。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります。
日本共産党国会議員のホームページ 衆議院議員 参議院議員 もご覧ください。
質問や法案の中身、国会の動きがよくわかる「しんぶん赤旗」をぜひお読みください。【最近の記事】
【国会NOW/154国会 (日本共産党国会活動のページ) にもどる】