私は、日本共産党を代表して、商法等の一部を改正する法律案ほか一案に反対の討論を行います。
今日、我が国の会社法制に求められているのは、取締役による暴走や違法、不当な企業運営に対する監督機能を強化することにあります。
しかし、本改正案は、以下のとおり、株主総会や監査役による取締役監視機能を、国際化、効率化を理由に、ますます形骸化、弱体化させ、社会の要請に逆行するものであって、到底賛成することはできません。
反対の第一の理由は、アメリカ型の委員会等設置会社を選択できるとして、取締役による監査委員会を設置した場合に、監査役をなくすこととしていますが、これは会社執行部に対する監視機能を低下させるものであります。
反対の第二の理由は、利益の処分または損失の処理の議決及び取締役の報酬決定を株主総会決議事項から取締役会決議事項とすることは、取締役の業務執行に対する株主総会によるチェック機能を大きく後退させるものです。また、株主総会並びに社債権者集会の特別決議の要件を緩和することは、総会の軽視、形骸化に拍車をかけるものです。さらに、取締役及び執行役の第三者に対する損害賠償責任を悪意または重大な過失があったときのみに軽減することは、取締役、執行役に対するチェック機能を減少させるものです。
反対の第三の理由は、会社の資産、計算書類等に関する記載事項について、現在法定しているのを法務省令で定めるとした点であります。これは、国会審議を回避して、国会、国民の会社組織、運営に対するチェック機能を大きく後退させるものであります。
反対の第四の理由は、株式について、株券失効制度の創設であります。
現在は、裁判所に公示催告、除権判決手続を申し立てて行うこととなっていますが、株券の管理が大変との理由でこれを会社組織内でできるようにするものでありますが、大企業の便宜だけを図るものであって、当該株主の利益を損なう危険があり、喪失株券の善意の取得者との関係で問題もあり、司法判断にゆだねる現行制度を改める必要性はありません。また、五カ年間所在不明の株主の株式を一方的に売却できる制度の創設も、余りにも乱暴と言わねばなりません。
今、会社法制の改革に求められているのは、今回も見送られた使途不明金の詳細を含めた大会社の計算書類の公開を抜本的に進めることであり、株主総会の形骸化を食いとめ、株主代表訴訟がしやすいように改めるなど、大企業に対する真の民主的規制を実現することであります。今回の商法等改正案は、このような国民の期待に逆行するものであり、我が党が賛成できないのは当然であります。
以上で、反対討論を終わります。(拍手)
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります
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