中小企業退職金共済法改悪案に対する反対討論

衆議院 厚生労働委員会 木島日出夫議員 2002年4月17日

 私は、日本共産党を代表して、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。

 反対の第一の理由は、中小企業退職金共済制度加入者が受け取る退職金額の算定の基礎となる予定運用利回りを、法律事項から政令事項へと変更し、現行の運用利回り三%を一気に一%にしようとしていることです。この変更が実施されると、退職金額は、掛金一万円の場合、十年で十三万円、三十年で百五十七万円もの減額となり、中小企業が労働者に約束した退職金額を守ろうとすれば、月々千円から二千円の増額をしなければなりません。中退共制度への国の補助金も、掛金収入に対する比率は一九八八年度の八・八%から後退を続け、二〇〇〇年度には四・八%へと半分近くにまで削減され、今回の改定ではその復活すらなされていないのです。政府の経済失政によるツケを労働者と中小企業にだけ押しつける本改悪を認めるわけにはいきません。

 第二の理由は、運用方法の範囲を拡大し、信託会社への包括信託を認め、勤労者退職金共済機構が特定の投資顧問業者との契約締結についての厚生労働大臣の承認を廃止することであります。これにより、機構はリスクの多い運用の場合でも事前承認なしで契約ができるようになります。役員の忠実義務や禁止行為の規定等が新設されてはいますが、投機の危険性が大きくなることは避けられません。理事長らが数千億円の資産についての責任を果たせるものではなく、安全性の確保からも賛成できるものではありません。

 第三の理由は、本制度には現在三百七十四の地方自治体が独自の補助を行っており、この方向を一層広げることが求められていますが、本改定により、中退金制度に対する魅力が大きく後退することによって、自治体の援助意欲に対して水をかけることになるからであります。

 退職金の役割は公的年金とともに退職後の生活を支えるためますます重要なものとなっており、国が定めた退職金制度を超低金利を理由として一方的に改悪することは容認できません。長期にわたる景気低迷は国の経済政策の責任であり、国の補助金を復活させること等、財源を確保し、真に中小企業労働者の福祉の増進と中小企業の基盤を強化するための制度として充実を図ることにこそ国の役割があることを強調し、反対討論を終わります。(拍手)


*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります


 【討論・発言インデックス


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