私は、日本共産党を代表して、鉄道事業法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、貨物自動車運送事業法にある営業区域規制の廃止により、積荷を求めて全国どこへでも次々とトラックを回していくことが可能になります。そのことが、トラック労働者の労働条件を悪化させ、過労運転による交通事故の増加につながることは、警察庁などの資料からも明らかであります。
長距離トラックの運転労働者は、家を出てから戻るまで三日から四日を掛けて大型トラックの運転に従事しています。しかも、この間の睡眠は専ら車両内の狭いベッドで取るという労働者が圧倒的多数であります。一たび交通事故を引き起こすと悲惨な重大事故につながる大型トラックの安全対策は社会的、国民的要請であります。ところが、この大型トラックの多くの運転者が劣悪な労働条件による過労から、運転中の居眠りを体験しているという深刻な事態が進んでいます。本法案は、この事態に一層拍車を掛けることになります。
反対理由の第二は、荷主企業が極端に安い運賃と短い無理な運送時間を押し付けている下で、運賃・料金の事前届出制を廃止するなら、今トラック運送業界などに蔓延している過当競争下での運賃ダンピングや大企業荷主による一方的な運賃切下げをますます助長し、そのことがまた重大な交通事故の増発につながることであります。
トラック協会の調査でも、運賃水準低下の要因として荷主からの一方的な値下げ要請を挙げている事業者が三二%にも達しています。石油輸送ではこの六年間に何と四四・三%もの運賃切下げが強行されています。
最後に、自動車による排ガス汚染の抑制や地球環境保護などの国民的要請にこたえるためにも、鉄道輸送などクリーンな輸送機関の充実強化は重要な課題となっています。ところが、本法案には六か月前の届出により鉄道貨物営業自体を廃止することができるようになっています。行政改革委員会や規制改革委員会によって国民の要求とは全く懸け離れたこのような規制緩和が強行されていることは容認できません。
以上をもって、私の反対討論を終わります。
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります
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