地方自治法「改正」案に対する反対討論

 参議院 総務委員会 八田ひろ子議員 2002年3月19日

 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方自治法等改正案に反対、民主党提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の討論を行います。

 最初に、今回の地方自治法改正案は、市町村合併特例法の改正案とセットとなっており、本来それぞれ慎重に審議を尽くすべき法案をこうした形で提出することは審議を軽視するものであることを指摘しておきたいと思います。

 政府提出の地方自治法等改正案に反対する第一の理由であります。

 住民の自治体への直接参政の手段の一つであります住民訴訟制度を改悪するものであるからです。

 現行の住民訴訟制度は、住民自治の立場から、自治体に成り代わって住民が損害賠償請求や不当利得返還請求などを長や職員個人を相手に起こすものであります。この現行制度の下では、住民と自治体とが敵対関係になることは想定されません。だからこそ、住民自治が保障されます。

 ところが、政府案では、訴訟の被告を長や職員個人から自治体の執行機関に変えることで、裁判上、住民の前に自治体が立ちはだかるという対立、敵対関係へと変えてしまうものであります。しかも、自治体は、住民の税金で弁護士を使うことも、職員を業務として裁判に就かせることもできます。現状ですら住民側不利と言われる裁判において、住民側はますますハンディキャップを負うこととなります。

 被告を執行機関に変えることによって、自治体保有の資料が裁判で活用できると政府は説明をいたします。しかし、本日の審議の中でも示されましたように、都合の悪い資料の存在そのものを含め隠される現実を見るときに、説得力は全くありません。

 日弁連の意見書にも、地方公共団体の活動に対する住民の統制機能を著しく後退させることになるので反対、司法改革フォーラムの提言でも、我が国でようやく根付き始めた草の根民主主義を一挙に後退させるものであると反対の意見が表明をされており、国会は責任を持って廃案にすべきものであります。

 反対する第二の理由であります。

 本来、住民の意向を行政に反映する有効な方法の一つであります住民投票制度を合併促進のためのみに導入しようとしているからであります。

 本来、合併は市町村の存廃に係る重大問題であり、合併の是非を住民が判断できる十分な材料を住民に提供した上で、合併そのものについて住民の意思を問う住民投票制度を導入すべきであります。

 ところが、政府案は、合併そのものではなく合併協議会の設置に係るもので、しかも協議会設置が議会で否決された場合に限定をされています。住民投票という地方自治を豊かにし、間接民主制を補完する直接民主制の一つの制度が合併推進のためだけに導入される、言わばつまみ食いも同然であり、容認できません。

 なお、直接請求に必要な署名数の要件の緩和、地方議会における点字投票の導入、緊急時の監査委員による停止勧告制度の導入などの改正につきましては、住民の声を行政に反映させ、また障害者の政治参加を保障することなど、地方自治の発展に資するものでありますので、賛成です。

 民主党の修正案につきましては、代位訴訟制度の見直し部分を削除することにつきましては評価をするものでありますが、提案されている内容について賛同できない部分がありますので、反対であります。

 日本共産党提出の修正案は、ただいま説明がありましたように、政府提出法案の欠陥を取り除き、地方自治を豊かにするものであり、賛成であります。

 以上で討論を終わります。


*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります


 【討論・発言インデックス


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