私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました都市再生特別措置法案に対して、反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、この法案は、都市の再生を緊急に行うことが国家的課題であり、そのために、周辺地域への起爆剤となるような地域に集中的、戦略的に民間の資金、ノウハウなどを振り向ける特別の措置が必要であるとして、都市再生緊急整備地域を設定し、民間の事業者に対し、各種の破格の特別措置、優遇措置を講じようとするものであるからです。
すなわち、第一に、都市再生緊急整備地域内では、既存の用途地域等に基づく規制をすべて適用除外とした上で、自由度の高い計画を定める都市再生特別地区の創設、二、民間事業者等による都市計画の提案制度の創設、三、一定期間内に確実に都市計画及び事業認定の手続を実施するなど、財界の要求を全面的に受け入れて、各種規制を事実上棚上げし、民間主導で計画を提案、スピーディーに計画決定し、自由に事業実施ができるように特別な措置を講じております。
第二に、しかも、これらの民間プロジェクトに対して、民間都市機構を通じて、一、整備事業の一部を無利子貸し付けする、二、出資、社債の取得等による施行費用の支援、三、不動産特定共同事業契約に基づく出資、四、施行費用の借り入れまたは社債発行に係る債務保証などの、各種の優遇措置を行うとしているものであります。
しかも、政府は、一、民間都市機構に対し、業務費用のうち道路整備費用に充当する資金の一部を無利子貸し付けする、二、民間都市機構に債務保証業務を円滑に実施するための基金を設置するため、政府が補助するなど総額百億円に上る手厚い支援を行おうとしているからです。まさに至れり尽くせりの大企業優遇にほかなりません。
そして第三に、法案が、都市再開発法や建築基準法改正と連動し、国際競争力の強化を目的に、市場原理で大資本の利益のための都市再生を実現するための枠組みをつくるものであるからです。
予定されるプロジェクトは、かつて構想、計画されていた大都市の環状道路、空港整備、臨海部開発などの巨大開発です。拙速に住民参加抜きに強行されれば、かつて中曽根民活による地上げで住民が次々と追い出されたような事態が起こるのは必至であります。
しかも、多くのプロジェクトが東京や大阪の都心部に集中していることは、再び人口と諸機能の大都市集中が激化し、環境悪化、交通渋滞、遠距離通勤などの二十世紀の負の遺産をさらに増幅するものになりかねません。
あるべき都市像についてのコンセンサスを得るような情報公開も十分行わず、国家的にまさに上からの都市づくりであり、住民参加も保証されていない今回の法案は、二〇〇〇年都市計画が言葉の上では宣言した内容にも反していることを指摘して、本法案に反対することを表明して、討論を終わります。(拍手)
*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります
第154国会の「しんぶん赤旗」の主な記事→【1〜3月】 【4月〜】
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