都市再開発法「改正」案に対する反対討論

 衆議院 国土交通委員会 瀬古由起子議員 2002年3月19日

 私は、ただいま議題となりました都市再開発法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。

 反対する第一の理由は、市街地再開発の施行者に、ノウハウと資力、信用を有する民間事業者が地権者の参画を得て設立する株式会社または有限会社であるいわゆる再開発会社を追加していることです。現在でも多くの再開発が大手のディベロッパーの主導のもとで推進されていますが、それを企画、資金準備、施行という一貫した段階で再開発会社に法的にお墨つきを与えることは、ディベロッパー、大企業の思うままに再開発が行われ、結果として零細な地権者や賃貸住宅に住む住民が追い出されることは明らかです。

 木造密集市街地の解消や未利用地などの住環境整備を理由としていますが、住民参加の保証は少なく、大企業中心の再開発を促進するものであり、認めることはできません。

 第二の反対の理由は、現在、公園整備など極めて公共性の高い事業に限って行われている第二種市街地再開発事業に再開発会社と称するディベロッパーを参入させ、しかも、事実上、土地収用権を与えていることであります。土地収用権は国民の財産権にかかわるものであり、それだけに、その発動に当たっては高い公共性が求められてきました。その土地収用権を私的利益を追求する民間企業に与えることは、国民の財産権を民間企業が侵すことにつながりかねない問題であり、憲法上も問題であると指摘せざるを得ません。

 第三に、土地区画整理事業の事業計画において、高度利用推進区を設けて、土地の所有者の申し出に基づき集約換地を行うことができるようにしていることです。結果として、高度利用推進区に住む住民はそこから追い出されることは明らかです。これは、区画整理の原則ともいうべき照応の原則にも反するものです。これによって中高層の町並みを高層化し、地域のコミュニティーを破壊するおそれが十分にあります。

 第四に、民都機構の土地取得業務を三年間延長していることです。国土交通省の提出資料によれば、同機構が取得した土地の大部分は、大企業の工場跡地やバブル時代に取得した不良債権です。したがって、その取得土地の開発は遅々として進まず、現在でも約半分しか開発されていません。これ以上土地取得事業を進めることは、役に立たない不良債権を公的資金を使って行うものであり、認めることはできません。民都機構の土地取得事業は中止すべきであります。

 地価の下落とバブルの崩壊で、売却益で事業を行う都市再開発や区画整理の手法は事業が成立せず、破綻することは明らかです。その教訓に学ばず、大企業支援を行いつつ地方自治体の財政破綻を加速する現在の法律、制度を抜本的に見直すことこそ必要です。しかし、政府はそれに手をつけないで、つけないどころか一層逆行するものになっております。

 以上の理由で本法案に反対することを表明して、私の反対討論といたします。(拍手)


*委員会名、法案名等については、略称、通称等で記載している場合があります


 【討論・発言インデックス


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