武部農水相の不信任決議に対する賛成討論 衆議院 本会議 松本善明議員 2002年2月5日

 私は、日本共産党を代表して、武部農水大臣に対する不信任決議案に賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 不信任案賛成の第一の理由は、武部大臣には、BSE発生という重大な事態に対処する責任感も能力も全くないからであります。
 今、日本の畜産は、BSEの発生と政府の不手際による価格の暴落で、自殺や、生産者が牛舎を捨てて逃げなければならないような事態さえ起こっており、この二、三カ月が勝負という緊急の事態になっております。畜産農家、その他関連業者を守るためには、被害者に損失を補償する緊急措置法の制定が必要であります。しかし、武部大臣は、このような重大な責任を全く自覚せず、当然なすべき被害補償もしようとはしておりません。
 そもそも、一九九六年四月に、WHO、世界保健機関が肉骨粉の使用禁止の勧告を出したとき、農水省は、専門家の意見を無視して、法律による禁止を行いませんでした。農水大臣が、法的規制をやるべきだったと認めているように、国の責任は極めて明白であります。当時の畜産局長で、さきの事務次官であった熊澤英昭氏を罷免しなかったことに端的にあらわれているように、農水大臣の断固たる姿勢の欠如が、後手後手の無責任行政となり、農政に対する不安と不信を収拾がつかないところまで広げたのであります。
 こういう農水大臣だからこそ、農民に向かって、行政指導を知らないのを恥ずかしいと思わないかなどという暴言を平気で吐くのであります。武部大臣が、この難局に対処する責任感も能力もなく、農水大臣の資格を欠いていることは明白であります。(拍手)
 第二に、我が国にBSEが発生する可能性についての、EUのステータス評価と言われている問題に関する農水大臣の責任の問題であります。
 農水省は、一九九八年に、EUに対して、日本のBSE発生に関するこの評価を依頼しながら、EUから、BSE感染牛発生のおそれが高いとの指摘があったため、昨年六月、慌ててこの評価を拒否することを決め、大臣の責任でEUに通知をいたしました。
 ところが、武部大臣は、その経過を十分把握せず、昨年五月八日に、BSEが発生していない国であってもBSEの牛がいる可能性があると指摘をしたEC委員会の大臣あての書簡も読まずに、拒否回答したのであります。
 これは大臣答弁で明らかになりました。あきれて物が言えません。国際的な恥さらしでもあります。EUのこの評価を受け入れていれば、BSE発生時のマニュアルもでき、発生時の混乱を避けられたことは明白であります。
 最後に述べたいことは、牛肉不信は農政不信と言われるように、農水大臣に対する不信任は、牛肉の暴落によって、国民から議論の余地なく結論がついているということであります。
 今、牛肉に対する信頼を回復するために求められていることは、今までの農政の誤りを国民に深く謝罪し、畜産行政など関連の行政を根本的に転換する姿勢を国民に示すことであります。この不信任案が可決されるならば、農政不信の回復の第一歩になると私は確信して疑いません。(拍手)
 生産者、流通加工業者、小売店や飲食業者を初め、おいしい牛肉を安心して食べたいと思っているすべての国民の切実な願いのこもっているこの不信任案に、すべての同僚諸君が御賛成いただくよう心から願って、賛成討論を終わるものであります。(拍手)


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