リフォームでトラブルが/どんな取り決めが必要か
築30年の100戸のマンションで理事長をしています。リフォームが多くなり、決まりが何もないためにいつもトラブルが起こります。どんなことを先に決めておけばよいですか。(埼玉県・K生)
千代崎 今まで起こったトラブルは。
──工事中の運搬による廊下の破損、遅くまでの工事、フローリングにしたための階下への騒音、壁への穴開け、工事直後の水漏れなどです。工事をしたら下の住戸のにおいが入るようになったという苦情もあります。
千代崎 まずは今までの例で、どうすればトラブルが防げたかを考えましょう。そのための文書をつくり、「リフォーム工事に関する細則」としたらよいと思います。
工事する時に、届け出だけで行えるマンションと、許可までもらわないといけないマンションがあります。許可の場合は申請を理事会で検討し、許可する・しないの判断をしなければなりません。
代表的な条件を挙げてみます。
工事時間は、9時〜5時で日曜祝日は禁止というマンションが多いと思います。
共用部のコンクリート躯体(くたい)への穴開けは原則禁止ですが、最近の設備機器の改良で必要な配管が増え、貫通する穴が必要になります。構造的な影響を与えるような個所では駄目ですが、開けてもよいような個所を指定したり、大規模修繕などを利用して、管理組合として一括で予備の穴を開けておくことも考えられます。
キッチンセットの取り換えの場合、排水は管を直接つなぎ、簡易な蛇腹管は使わないなど、部位ごとの工事方法を決めることもあります。水漏れ等が起きた時に階下が空住戸だとなお困りますので、リフォーム施工者の連絡先をきちんと把握しておき、責任をとらせることも必要です。
フローリングは本来なら防音性能をきちんと規定すればいいのですが、トラブルが起きた時に性能を測定することも難しいので、隣や階下の許可を得ることを条件にしているマンションもあります。しかし、同じような騒音でも許可する方と許可しない方がいるので公平性ということでは問題が残ります。
ケーブルで上下階の接続がされているテレビの端子は、共用部分です。部屋の中にあるので自由にできるとして工事をした結果、テレビが映らなくなったという事故もありました。注意事項としておきましょう。
住戸の排気が集中ダクト方式では、ダクトとレンジフードの間に電気で作動するシャッターがあります。階下の熱や炎が入らないようにするためのもので法令上も必要なのですが、リフォームで取り除く施工者もいますので注意が必要です。
(「しんぶん赤旗」2004年8月25日)
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