2007年1月17日(水)「しんぶん赤旗」
ホワイトカラー・エグゼンプション
首相、法案提出見送り
安倍晋三首相は十六日夜、ホワイトカラー労働者を何時間でも働かせて残業代も払わない「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」(労働時間規制の除外制度)を導入する労働基準法改正案について、「今の段階では難しい。(国民の)理解を得られていない」とのべ、二十五日召集の通常国会への提出断念を表明しました。首相官邸で記者団の質問に答えました。
首相は、「働き方の問題だから、国民の理解が不可欠だ」「働く人たちの理解がなければうまくいかない」とのべる一方、「サービス残業が増える、助長する形になってはならない」とものべました。
同法案は、全労連や連合など労働者が強く反対し、使用者のなかにも反対意見があるにもかかわらず、日米財界の要求にこたえて政府が強引に提出を目指していたもの。反対世論と運動が広がるなか、与党内からも「参院選を前にサラリーマンを敵に回す」などと慎重論が広がり、自民党の中川秀直幹事長は十六日の記者会見で「国民の理解が十分とは言えない」と提出は困難との認識を示していました。
同制度は、一定条件のサラリーマンを、一日八時間・週四十時間の労働時間規制の対象外にして、残業代を払わない制度。長時間労働をいっそう深刻にするとともに、一人あたり百十四万円の残業代が消えてしまうと試算されています。