2007年1月15日(月)「しんぶん赤旗」
21世紀の世界論 未来への展望語る
志位委員長、ハノイ大学で講演・交流
国立ハノイ大学の真新しい校舎の玄関で、色とりどりのアオザイ姿の女子学生が日本共産党の志位和夫委員長を出迎えました。ベトナムを訪問した志位委員長はハノイでの日程の締めくくりに12日午前、ハノイ大学の講堂で約300人の学生を前に「21世紀の世界の前途をどうみるか」とのテーマで講演。その後学生たちと交流しました。(ハノイ=鈴木勝比古、写真はいずれも林行博)
「シン・チャオ」
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志位委員長が演壇に立つと、緊張した学生たちの目が演壇に注がれます。約七割が女子学生。「シン・チャオ(こんにちは)」で始まる志位委員長のベトナム語の自己紹介で緊張がほぐれました。
「私たちの世代の日本共産党員にとって、ベトナムとはまず私たちの青春です。私自身もアメリカのベトナム侵略戦争に反対する集会に参加し、『自由ベトナム行進曲』を歌ったことを、胸を熱くして思い出します」
志位委員長のメッセージに学生たちがわきたち、この場で歌うように求める拍手。志位委員長が歌いだすと、手拍子と歌声があがりました。
「20世紀の構造変化」
志位委員長は、二十世紀の世界で、社会主義をめざす体制と資本主義体制の共存、植民地体制の崩壊という二つの大きな構造変化が起こったことを解明しました。
「この世界の構造的変化に、ベトナム人民の抗仏、抗米戦争の勝利が大きな役割を果たしました。日本の平和・進歩勢力はみなさんのおじいさんとおばあさん、お父さんとお母さんの世代のたたかいに強い尊敬の気持ちを持っています」と語ると、学生たちは目を輝かせて聞き入り、節々で拍手がおこります。
『帝国主義論』
志位委員長は、この二つの構造変化の結果、今日の世界がどう変わったかを、レーニンが『帝国主義論ノート』で分析した二十世紀初頭の世界と比較して詳しく述べました。
「『帝国主義論』を読んだことがありますか?」との問いに、みんな顔を見合わせます。前の方に座った女子学生が手を上げましたが、あとで「間違えました。読んでいません」。
「面白い本ですよ。ぜひ読むことをすすめます。ただこの時代と今日の時代では独占資本主義の国にも変化がおこっています」。こう述べた志位委員長は、日本共産党が綱領改定で帝国主義論をどう発展させたかを語りました。
「希望のある国は?」
志位委員長は、ベトナムや中国など社会主義をめざす国での目覚ましい発展に言及しました。
「米国のギャラップ社が最近、『今年は昨年より良くなると思うか』という世論調査を世界の五十三カ国・地域で実施しました。さて、第一位の国はどこだと思いますか」と問いかけると、すぐに「ベトナム!」という声が唱和されました。ベトナムのドイモイ(刷新)路線が広く受け入れられていることを示す反応でした。
「未来は青年のもの」
志位委員長は、国連がイラク戦争を最後まで認めなかったこと、軍事同盟が解体・弱体化し、平和の共同体が世界に広がりつつあることをあげ、「二十一世紀の世界は、逆流や曲折はあっても全体をみれば平和と進歩の勢力が文字通り主流になり、それは日増しに力を強めつつあります」と語りかけました。最後に「みなさんの真剣なまなざしにベトナムの輝かしい未来を感じました」と締めくくり、「トゥオン・ライ・ラ・クア・カク・バン・チェア(未来は青年のもの)」と呼びかけると、会場はわれるような拍手に包まれました。
「今まで聞いたことない社会主義の話」学生が感想
講演後、学生から次々と質問が飛び出しました。「日本とベトナムの関係促進のために日本共産党の果たす役割は?」「核兵器の廃絶と原子力発電の関係は?」「ソ連の崩壊の理由は?」「社会主義とは?」
志位委員長はこうした質問に、一つ一つ丁寧に答えました。
日本語学科四年の女子学生、グエン・ティ・タイン・ニャンさん(22)は、こう感想を話します。
「いままで聞いたことのないような話を聞きました。一番興味深かったのは、社会主義の話です。私たちの国は社会主義に向かう国ですが、社会主義とはどういうものかがよくわからなかったからです。ほかの国の共産党の話を聞けて、とても有益でした」
ホーチミン市のハイテクパークを視察
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【ホーチミン市=井上歩】志位和夫委員長を団長とする日本共産党代表団は十三日、ベトナム・ホーチミン市のハイテク工業団地などを視察しました。
志位委員長らは、ホーチミン市がインフラ整備に約千八百万ドルを投じて開発し、IT企業を呼び込んだ「クアンチュン・ソフトウエアシティー」を視察。同団地はベトナム最大のソフトウェアの生産地で、すべての区画に企業の誘致が決まっています。
代表団は、国営企業である同シティー開発会社の副社長らから、二〇一〇年には毎年五千人のIT技術者を育成できるよう人材開発に力を入れていることなどの説明を受けました。
志位委員長らはまた、同団地内の企業内にある日本語教室を訪問。ソフトウエア技術者の日本語研修生が「上を向いて歩こう」を歌って一行を迎えると、志位委員長は「みなさんが技術者として成長し、ベトナムの国づくりを担う活躍をされることを期待します」とあいさつしました。
代表団は同日、ホーチミン市が約二億五千万ドルを投資して開発した工業団地「サイゴン・ハイテクパーク」を訪問。同工業団地はベトナム最大のハイテク工業団地で、ほぼすべての区画で企業との土地の貸し出し契約が成立しています。
志位委員長らは、グエン・ディン・マイ管理委員会委員長代理から、情報通信、精密機器製造企業を同工業団地に誘致し、協力してバイオテクノロジー、ナノテクなどの研究開発を重視して進めていることなどの説明を受けました。また、同団地内にある、日本の精密機器メーカーの工場を視察しました。