2007年1月13日(土)「しんぶん赤旗」
こんなに残業代奪う
ホワイトカラー・エグゼンプション試算
年収400万円…140万円
700万円…246万円
900万円…317万円
年収26%ダウン
労働総研
年収四百万円の労働者は百四十万円の残業代を奪われ、総年収は26%もダウンする――政府が今国会に法案提出をねらう残業代ゼロの「ホワイトカラー・エグゼンプション」が導入されると、労働者の生活に深刻な打撃を与えることが改めて浮き彫りになりました。労働運動総合研究所(代表理事・牧野富夫日本大学教授)がこのほどおこなったモデル試算で明らかになったものです。
ホワイトカラー・エグゼンプションは、「管理職の一歩手前」という働き盛りのホワイトカラー(事務系労働者)を労働時間の規制から除外(エグゼンプション)し、何時間でも働かせたうえ、残業代を一円も払わなくてすむ制度。日本経団連は「年収四百万円以上」に導入するよう求めています。
労働総研は今回、個人の年収と残業時間ごとにいくら残業代が横取りされるかを試算しました。(サービス残業代は除外。表参照)
それによると、年収四百万円の労働者が、月八十時間残業をした場合、百四十万九千円の残業代がなくなり、総収入は26%もダウン。課長職の平均年収といわれる七百万円では、二百四十六万円の残業代がなくなり、総年収は同じく26%減少することが分かりました。
月八十時間は、東京労働局調査で過半数の企業に広がっていることが分かった時間外労働です。
「過労死促進、サービス残業合法化法だ」と労働者から批判されて柳沢伯夫厚生労働相は、「年収九百万円以上」といいだしていますが、その場合も三百十七万円の残業代が奪われ、年収が26%ダウンします。年収をとわず全労働者が大きな被害を受けることは変わりません。
労働総研はすでに年収四百万円以上だと千十三万人が対象となり、不払い残業(サービス残業)も含めた残業代横取り額が一人あたり百十四万円、総額十一・六兆円にのぼるとの試算を発表しています。
そもそも年収は法律ではなく政省令で定めるとしており、いったん導入すれば歯止めがなくなる恐れがあるものです。
労働総研は「ホワイトカラーは、無制限の長時間・過密労働を強制され、メンタルヘルスを含む精神と肉体破壊と生活破壊が深刻となることは明らか。ホワイトカラー・エグゼンプション導入はやめる以外にない」としています。
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