2007年1月12日(金)「しんぶん赤旗」

主張

米大統領イラク演説

米軍の存在そのものが問題


 ブッシュ米大統領は、イラク戦争を最大の争点にした昨年の中間選挙で大敗し、見直しを迫られてきたイラク政策をテレビ演説しました。それは「新戦略」といいながら、二万人以上の米軍増派など、軍事力を頼りにする旧来方針の焼き直しにすぎないものでした。

 米議会、前軍司令官などからも、大統領の増派方針ではイラク情勢の泥沼化を打開できない、と批判する声が聞こえるのも当然です。

根本に侵略・占領の誤り

 米国がイラクで犯した根本的な「誤り」は、侵略戦争と占領支配の誤りです。大統領が「責任がある」というなら、国連の承認もなくうその口実で一方的にイラクを攻撃し、度重なる無法な掃討作戦で多数のイラク国民の命を奪い、宗派間対立を激化させる占領支配をしてきた誤りをたださなければなりません。

 なかでも侵略戦争と無法な占領支配を続け、暴力の源泉になっている米軍の存在を取り除く見通しをもたなければ、「イラク人が暴力の連鎖を断つのを助ける」といっても、できることではありません。なにより、イラク国民の八割近くが“米軍は紛争を防ぐより引き起こしている”とみている現実があります。

 しかし、ブッシュ大統領が実際にやろうとしているのは、反対にこれまでの誤りを重ねることです。米軍を居座らせてイラク政府軍との「共同作戦」に投入し、イラク人同士をたたかわせる軍事作戦の強化です。

 もはや軍事力で泥沼化した情勢を打開できないことは、昨年夏から首都バグダッドに集中した米軍の掃討作戦で治安は改善するどころか、悪化の一途をたどってきたことでも明白になっています。イラク厚生省によると、昨年の軍事作戦やテロによるイラク人の犠牲者約二万三千人のうち四分の三が年の後半に集中しました。

 それにもかかわらず、増派米軍を加えた軍事作戦をくりかえせば、民族、宗派、政治勢力間、さらには政府部隊と民兵組織などの対立激化をもたらすことは避けられません。テロ活動の余地も広げるだけです。

 誤りをただしてイラク情勢を打開するためには、多数のイラク人を殺し、辱めてきた占領支配の災いのもとである米軍を撤退させる、明確な見通しが不可欠です。

 米国内でも米軍の撤退を求める機運は高まっています。

 最新の調査で、米軍「一時増派」への反対が61%にのぼり、ブッシュ大統領のイラク対応への支持は26%と最低を記録しています(USAトゥデー、ギャラップ共同調査)。

 「イラクから手を引け」という反戦世論の高まりを背景に、米議会多数派となった民主党指導部が「戦争をエスカレート」させ「イラクの自立」を妨げるとブッシュ大統領を批判し、「米軍引き揚げを始めるときだ」と主張しているのも、そのあらわれです。

 「撤退にともなうリスク」はあるにしても「撤退の見通しは、イラクの各勢力が破局を避ける最良の希望だろう」(ニューヨーク・タイムズ紙)という議論が米国内でも力を増しつつあります。

撤退し、災いの根絶て

 国際社会は、さらに多くの人命を奪い、イラクと周辺の情勢をいっそう危険にすることが明白な、米軍の新たな軍事作戦を容認していません。

 ブッシュ政権は米国内外の世論を直視し、イラクから期限を区切った米軍撤退に踏み出すべきです。


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