2007年1月12日(金)「しんぶん赤旗」
米軍2万2000人増派
大統領 イラク政策転換拒否
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領は十日夜、イラク政策についてテレビ演説をし、首都バグダッドなどの治安強化のため、現在十三万人余のイラク駐留米軍を約二万二千人増派することを柱とする新方針を発表しました。
イラク戦争・占領の深刻な行き詰まりに対し米国民は、昨年十一月の中間選挙で与党・共和党に厳しい審判を下しました。これを受けて超党派独立委員会のイラク研究グループ(ISG)などから、米軍のイラク撤退も視野に入れ、従来の軍事一辺倒の対応ではなく政治解決の方向へとイラク政策の根本的見直しを求める声が強まっていました。
今回の新方針はこうした政策転換を拒否し、破たんが明確な従来の軍事中心の対応をさらに強行しようとするものです。
ブッシュ氏は「イラク情勢は受け入れ難い」「犯された間違いは私の責任だ」と表明。バグダッドの治安確保のためのこれまでの努力は「兵力不足」のために「失敗した」と述べました。
イランとの対話を開始するとのISGなどの提言も拒否し、中東地域への空母打撃群の追加配備など、イラクだけでなく、イランも含む中東全域で軍事的対応を強化する方針も示しました。
ブッシュ氏はまた、復興・雇用促進のため約十二億ドル(約千四百億円)の追加支援策を打ち出しました。
野党・民主党は、新政策は「イラク内戦への米軍の関与を拡大するもの」であり、平和で安定したイラクは「米軍戦闘部隊の増派では達成できない」と批判する声明を発表しました。