2007年1月11日(木)「しんぶん赤旗」

税調会長 行革相 辞任 松岡農水相疑惑噴出

任命責任問われる首相


 安倍晋三首相が任命した閣僚らの「政治とカネ」の疑惑、不祥事が相次いでいます。しかし、安倍首相は「個別の事案の詳細は担当大臣に聞いていただきたい」(五日の記者会見)などと真相解明に背を向けています。

 安倍内閣は発足わずか三カ月で深刻なダメージを受けています。昨年十二月に、首相の肝いりで政府税調会長に起用された本間正明氏が公務員宿舎に家族でない女性と入居していた問題で辞任。続いて、佐田玄一郎前行革担当相が政治資金収支報告書の虚偽記載で辞任に追い込まれました。

 新年早々には、松岡利勝農水相の「口利き」疑惑が浮上。出資法違反容疑で捜査を受けた資産運用会社の関連団体が松岡氏の百万円分のパーティー券を購入、松岡氏側が関連団体のNPO(特定非営利団体)法人申請で内閣府に審査状況の照会をしていたというものです。

 重大なのは、一連の疑惑・不祥事に対して安倍首相が何ら任命責任を果たさず、逆にかばい続けていることです。

 松岡氏の疑惑は、農水相就任直後の昨年九月から指摘されていました。本来なら、このときから安倍首相が率先して真相をただすべきなのに問題視しませんでした。松岡氏は「関係者に接触したことはない」と全面否定し、国会でも同様の答弁をしてきました。

 ところが、今回はNPO法人の申請をめぐり、松岡氏の秘書から内閣府に照会と「よろしく」との依頼があったことを示す文書が存在することが明らかになったのです。これまでの松岡氏の発言から偽証の疑いも出ています。

 それでも安倍首相は「(松岡氏から)働きかけはなかったという報告を受けている」と二転三転した松岡氏の釈明会見をうのみにするだけで、一向に調査すらしようとはしません。

 松岡氏をめぐっては同氏の資金管理団体が家賃のかからない議員会館を事務所の所在地としながら、高額の事務所費を政治資金収支報告書に記載していた問題も出てきています。これにも安倍首相はだんまりを決め込んでいます。

 本間氏には「職責を全うしてほしい」とかばい続けた安倍首相。佐田氏の辞任時には「任命者として責任を感じている」(昨年十二月二十七日)との認識を示したものの、後任人事を決めると佐田氏の疑惑をいっさい不問にしてしまいました。

 「政治とカネ」をめぐっては、自民党の衛藤征士郎元防衛庁長官の公設秘書が建設業者から情報冊子購読料の名目で一億円以上の資金を集めていた疑惑も明るみに出ました。安倍首相は自民党総裁として真相解明をする責任があります。

 「美しい国、日本」と安倍首相は国民に規範意識を求めますが、少なくとも自らの任命責任、総裁としてのリーダーシップを発揮してからいうべきです。(高柳幸雄)

首相のコメントから

 松岡利勝農水相釈明会見(1月5日) 「働きかけはなかったという報告を受けている。個別の事案の詳細は、ぜひ、担当大臣に聞いていただきたい」

 佐田玄一郎行革相辞任(昨年12月27日) 「任命者として責任を感じている。(後任に)適切な人を任命し、結果を出していくことで責任を果たしたい」

 本間正明政府税調会長辞任(昨年12月21日) 「税に対する高い見識を生かしてもらいたいと任命したが、一身上の都合で辞任したいということだからやむを得ない」


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