2007年1月8日(月)「しんぶん赤旗」

米労組活動家の違法解雇が増加

介入防止法の審議へ

経営者側は「徹底抗戦」


 米国の職場で労働組合を結成する動きに対し、会社側が活動家や結成に賛成する労働者を違法に解雇する事例が増えていることが、民間の研究組織の報告で明らかになりました。米国の労働運動は新議会で労組結成への介入を防止するための法律の成立を目指しています。経営者団体はそうした動きを敵視し、成立阻止に躍起になっています。(ワシントン=山崎伸治)


民間研究組織調べ

 この報告は経済政策研究センターが五日に公表したもの。現在の労働関係法では、労組加盟の決定は、労働者が証書に名前を記入するか、職場投票をするかいずれかの方式で行われます。報告は連邦機関「全米労働関係委員会」のデータを使い、実施された職場投票の数、それに携わった活動家の数、その期間に違法に解雇された労働者の数などを集計しました。

 その結果、労組結成に賛成した労働者が違法に解雇される割合は、一九七〇年代に百人に一人でしたが、八〇年代前半に四十二人に一人と最高となりました。その後は八十七人に一人という割合で推移していましたが、二〇〇〇年代に入って、五十三人に一人と再び割合が大きくなっています。

 〇五年に行われた職場投票二千二百六十七件で労組結成に賛成票を投じたのは六万五千五百五十一人、解雇されたのは千百六十九人、五十六人に一人の割合でした。

 さらに労働者の組織化などを進める活動家が違法に解雇される率はより高く、五人に一人の割合だと指摘しています。

 米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のブログ(五日付)はこの報告について、「労働組合を結成する自由を求めたために解雇されるのは不当だ」と指摘。労働組合の結成に対する経営者の介入を防止することを目的とした「被雇用者自由選択法」の成立が必要だと強調しています。

 これに対し、米国の経営者側は同法に反対する姿勢をあらわにし、労組結成を認めない立場を改めて表明しています。

 四日、ワシントンで記者会見した米商工会議所のトム・ドナヒュー会長は、同法について「労組側の取り組みには全力をあげて反対していく。労組側は大きな闘争を自ら抱え込むことになる」と「徹底抗戦」の構えを示しました。

 「被雇用者自由選択法」は前議会で民主・共和両党の議員が共同提案しました。AFL・CIOによると、四日に開会された新議会で審議される見通しです。


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