2007年1月6日(土)「しんぶん赤旗」
?けいざい?
リッチ1%が4割の富?
雇用改悪で貧困拡大
熊 てぇへんだ、てぇへんだ。
ご隠居 こんどは何だ。
熊 プアって、貧しいってことだったよな。その反対は何だ。
ご隠居 裕福ってことかい。英語だとリッチだな。
熊 それだ、それ。世界のわずか1%の、そのリッチってやつが、世界の富の四割を占めてるんだそうだ。
ご隠居 それが、なんで大変なんだ。
熊 おいら、1%にはなれそうにねぇ。
ご隠居 おやおや。
熊 同じ調査(国連大学世界開発経済研究所の調査)だとな…。
ご隠居 熊さん、急に物知りになったな。
熊 あたぼうよ、「知は力」っていうじゃねぇか。でな、10%のリッチが世界の資産の85%を占めてる。かたや、下の方の50%の人が持つ資産は1%にすぎない。
ご隠居 世界的に「富める者」と「貧しき者」の格差が深刻な実態にあるということだな。
熊 もっと驚いたのは、その1%にすぎないリッチがどの国に多いかってことだ。
ご隠居 アメリカが一番で、二番目は日本ってとこか。
熊 おっ、さすが。当たりだ。二つの国で六割を超す。
企業に好都合
ご隠居 そのアメリカと日本が貧困率でも一位と二位を争うのは、皮肉だな。
熊 政府や自民党の政治家は、よく「日本は格差が小さい」なんていうが、実感とも違う。
ご隠居 問題は、貧困層が広がっていることだ。で、やっぱり気になるのは雇用だ。
熊 改善したっていうじゃねぇか。
ご隠居 といっても完全失業率は4%。かつては2%台だったのが3%を突破しただけでも大騒ぎだった。
熊 そういえば、小泉内閣時代に一時5%を突破したこと自体が異常だったな。
ご隠居 雇用の中身も変わった。非正規で働く人の割合が、どんどん増え、三人に一人だ。
熊 企業は正社員を減らそうってわけだ。
ご隠居 二〇〇五年度の数字だがな、派遣労働は前年度と比べて四割も増えた。ところが、賃金の方は減っている。派遣の契約期間も三カ月未満が七割と短い。
熊 必要な時に安くか。まったく企業のご都合主義だな。まるでトヨタのなんとか。
ご隠居 ジャスト・イン・タイムか。在庫をできるだけ持たず、必要なものを必要なときに必要なだけつくる。
熊 労働者が「在庫」扱いされてねぇか。
どこまでも…
ご隠居 労働者の派遣は職業安定法で「労働者供給事業」として禁止されていた。それを解禁したのが労働者派遣法だ。一九八五年に制定された(自民、公明、民社が賛成)。
熊 「人貸し業」の解禁ってぇわけか。
ご隠居 労働者派遣を職業安定法の「例外」から「原則自由」にしたのが九九年(自民、民主、公明、自由、社民が賛成)。物の製造業への労働者派遣まで解禁にしたのが〇三年(自民、公明、保守が賛成)だ。
熊 消費税といっしょだな。いったん導入したら、どこまでも税率を上げようとする。
ご隠居 一定の収入のあるホワイトカラーは八時間労働の規制をはずして、どれだけ働いても残業代を払わないという法改定まで検討されている。厚生労働省は年収七百万円から九百万円以上あたりで調整しようとしているという。
熊 それだけ年収がない労働者が「関係ないや」と思ったら、大間違いだな。これが。
ご隠居 おっ、熊さんも勘がいいね。財界の要求は年収四百万円以上だし、いったん導入されたら、どうなるか。
熊 「勘」じゃねぇ、「学習の力」だ。たたかってこそ、未来は開ける。“労働者諸君、団結せよ”だ。
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