2007年1月6日(土)「しんぶん赤旗」

主張

クラスター爆弾

全面禁止国際会議に合流せよ


 親爆弾から飛び散る子爆弾が紛争地の民間人、とくに子どもを殺傷し続けています。特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の締約国(昨年十二月現在百二カ国)会議は地上に残存するクラスター爆弾の処理について議論をはじめているものの禁止を問題にしていません。

 こうしたなかでノルウェー政府がクラスター爆弾禁止条約作成のための国際会議開催を表明し、各国に参加を呼びかけたことは大きな意義をもちます。今年前半にも予定されるこの会議を成功させ、禁止措置を具体化させることが重要です。

残虐非道の兵器

 クラスター爆弾は、滑走路を穴だらけにして使用を不能にしたり、多数の戦車を一度に攻撃するなどのために使われます。戦闘機から発射される親爆弾から缶ジュースのような子爆弾が数百個ばらまかれますが、子爆弾の不発率は一割とも二割ともいわれます。地上で不発弾として残存する子爆弾はきらきら光るため、子どもたちがひろいあげ、少しでも力を加えると爆発します。残虐で非人道的な兵器と非難されます。

 米軍は、コソボやアフガニスタン、イラクでクラスター爆弾を多用してきました。イラクで二百万個の子爆弾をばらまき、多くの子どもを犠牲にしてきました。イスラエルもレバノンで大量投下し、十万個以上もの不発弾が子どもたちの命をいまなお奪っています。

 クラスター爆弾の禁止に向けて国際社会が努力すべきときです。しかしCCW締約国会議が議論してきているのは、地上に残存するものをどう処理するかということだけです。使用国の責任を問うこともせず、使用禁止を目標にもしていません。これは現実に紛争地でクラスター爆弾を気軽に使っている米英などの保有国が禁止に抵抗しているからです。禁止を先延ばしにして、残虐兵器を温存し使用し続けるのは許されることではありません。

 ノルウェー政府は昨年十一月のCCW締約国会議後、「会議がクラスター爆弾禁止交渉の開始に合意できなかったことは遺憾」とのべ、クラスター爆弾禁止のための国際会議を今年前半にも開催すると表明しました。すでに国際人権諸団体と欧州や中南米など三十カ国が国際会議を支持しています。この会議を成功させ、クラスター爆弾禁止に向けた第一歩をふみだすことがきわめて重要です。

 ところが安倍内閣はこの会議をつきはなす態度です。久間防衛庁長官は、ノルウェー政府の提唱を「非常に突出」しているといい、CCW締約国会議に「むしろウエートを置(く)」などといっています(参院外交防衛委員会=昨年十二月七日)。航空自衛隊がクラスター爆弾を持ち、使用する方針を前提にしているからです。クラスター爆弾に固執するのをやめ、禁止のために力を尽くすべきです。

政治的決断が必要

 CCW締約国会議を重ねている間もクラスター爆弾が罪のない人々を殺傷しています。被害を広げさせてはなりません。そのために禁止条約を一日も早くつくる必要があります。日本政府は「過度の障害又は無用の苦痛を与える兵器は禁止する」ジュネーブ条約追加第一議定書を批准しています。十一月のCCW締約国会議でアナン国連事務総長(当時)も「国際人道法に違反」とのべクラスター爆弾を指弾しています。

 クラスター爆弾が国際人道法違反であることは明白です。政府はクラスター爆弾禁止のため積極的に外交努力すべきです。


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