2007年1月4日(木)「しんぶん赤旗」
米、安保理の票「買う」
非常任理事国に「わいろ」
米研究者が論文
米政府は発展途上国が国連安全保障理事会の非常任理事国になると財政援助を強化してきた―こう指摘した米ハーバード大学の二人の研究者の論文が注目されています。シカゴ大学の論文誌などに掲載され、内外のメディアも紹介。論文からは、お金で安保理の票を「買う」米政府の国連利用の一端がうかがえます。(ワシントン=山崎伸治)
「安全保障理事会の席にはどれほどの価値があるのか。国連における対外援助と贈収賄」と題した論文をまとめたのはイリアナ・クジエムコ、エリック・ワーカーの両氏。米政府が安保理決議の採決などで他の理事国に圧力をかけていることは、これまでも指摘されていました。論文は一九四六年から二〇〇一年まで、非常任理事国に就任した発展途上国に対する歴代米政府の対外援助の額を分析し、それが「わいろ」として働いていることを裏付けようとしたものです。
その結果、米政府からの援助は、非常任理事国就任の年には前年比で平均59%も増えていることが分かりました。「援助は理事国に選出された年に急増し、二年の任期中は高いまま推移し、任期終了と同時にそれ以前の水準に戻る」という傾向がはっきりと現れているといいます。
しかも「重要な外交問題の起きた年、すなわち国連に関するマスコミ報道がとくに多かった年、ないしは重大な国際的事件が起きた年にはより大きくなるのが顕著」。一九五〇年(朝鮮戦争)、五六年(スエズ危機)、六二年(キューバ危機)、八二年(フォークランド紛争やレバノン紛争)、九一年(湾岸戦争)などをあげています。
国連機関を通じた援助についても、同様の傾向があると指摘しています。非常任理事国になった発展途上国は平均で千六百万ドルを米国から、百万ドルを国連機関から援助として受け取り、重大事件が起きた年にはこれがそれぞれ四千五百万ドル、八百万ドルに跳ね上がるとしています。