2007年1月4日(木)「しんぶん赤旗」
流れを変える
医師不足解決へ全力
京都府北部
ずっと自民党の医師会前会長は言った
“共産党の目線温かい”
京都府北部。十四年前、若き女性医師の葛藤(かっとう)と成長を描いたNHK朝の連続テレビ小説「ええにょぼ」の舞台となった舞鶴市、伊根町はじめ、五市二町があります。この地がいま、深刻な医師不足に直面しています。住民の命と地域の将来を左右する問題をどう打開するか。日本共産党が党派を超えた共同を広げ、その提言が行政を動かし始めています。(小泉大介)
アンケートや懇談もとに
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「こうなることはずっと前からわかっていたのに、政府や行政は『医師は足りている』などといって、手立てを何もとらずにきた」
京都府医師会のある幹部は率直に語ります。
府北部では医師が、主要十病院だけで、二〇〇三年から〇五年の間に二十五人減りました。その深刻さが誰の目にも明らかになったのは、〇五年から〇六年にかけて。京丹後市立弥栄病院や舞鶴市の舞鶴医療センターの産科が休止となり、京丹後市では少なくない妊婦が市外への通院を余儀なくされました。舞鶴市では、市内に残ったわずか五人の医師のもとに殺到する事態に。
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昨年一月、自治体や病院労組が府知事にたいし、医師確保を求める要望書を提出。日本共産党府議団は、〇四年の二月議会で、北部の医師確保を求めたのに加え、昨年二月以降は、議会ごとにこの問題を正面から取り上げ、府の姿勢をただしました。
「十年後の医療状況を想像することもできないほど深刻な事態にもかかわらず、客観的事実として、共産党以外の政党は事態の把握もしていない。共産党には実態調査、提言とよくやっていただいています」
舞鶴市のある病院長はこういいます。
昨年六月末、日本共産党は北部の三百五十の病院・開業医にアンケートを実施。切実な声が続々と寄せられました。
「産婦人科の医師は過酷な労働条件で必死に働いている」
「医師は足りていると国は本気で考えているのか。産科もだが、外科、小児科の不足も深刻」
「診療報酬が低く、特別な対策ができない。医師不足の責任は国や府にある」―。
これらは、医師不足が産科に限らない構造的な問題であること、政府の医療費抑制、医師養成抑制政策と、それに追随する行政が根本原因であることの告発でした。
党京都府委員会と府議団は十月、これらの声をもとに「医師確保と地域医療を守る日本共産党の五つの提言」を作成、発表しました。
「このままでは地域医療にはなんの展望も希望もありません。政府の重点化、集約化政策で、都市の一部の大病院だけが残るだけです。命の格差が広がり、地域社会は崩壊しかねない」
京丹後市の医師が加盟する北丹医師会の山本一郎前会長(78)を訪ねると、二時間にわたり地域の将来への懸念を表明し、そして―。
「私はずっと自民党でやってきたが、この党は総論では『大変、大変』というが、現場に来ることもなく各論では何も打つ手がない。共産党は医者にたいする温かい目線で訪ねてきてくれる」
冒頭の医師会幹部も、「ことここに至っては、イデオロギーは関係ない。自民党など他の政党と違い、現場の実態を調べ、大いに知恵を出してくれているのが共産党だ」と語りました。
党の「提言」が行政動かす
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京都府が昨年十月に設置した医療対策協議会が十二月十八日、「中間報告書(たたき台)」を出しました。
「中間報告書」は、北部の診療体制を維持するのに必要な医師数は五十三人と具体数を挙げ、緊急課題として、医師の勤務条件の改善、安定的な医師派遣システムなどを明示。日本共産党の「提言」と多くの共通点を持っており、府の対応の変化を示すものとして注目されました。
府当局は昨年二月議会で日本共産党の質問に、「それぞれの実情に応じて、(地域で)主体的な検討がされている」(知事)、「医師は設置者の責任において確保すべき」(理事)などとし、府の責任を完全に放棄していました。
それが九月議会では、日本共産党の質問に、知事が「中北部地域では医師確保が極めて厳しい状況」とし、「府としても実効ある対策を講じる」「医療対策協議会での具体化を検討する」との答弁に変化。これが、協議会設置と「中間報告書」に結びつきました。
昨年十二月三日、日本共産党が中心となり宮津市で開催した医療シンポジウムでパネリストを務めた丹後ふるさと病院の山西行造院長(56)は語ります。
「医師が二十四時間、三百六十五日待機という限界を強いられている中、共産党にはタイムリーに動いていただいた。今後、実際に医師を確保するためさらなる活動を期待します。スケールの大きい、かつキメ細かい運動で、行政も巻き込んでいけるように」
日本共産党の成宮まり子参院京都選挙区候補や府議とともに、とりくみの先頭に立ってきた吉田さゆみ衆院京都5区候補はいいます。
「府医療対策協議会の『中間報告書』が日本共産党の『提言』と多くの点で一致しました。それは、『提言』に道理があることを示しています。しかし、これは出発点にすぎず、これからが正念場です。政策実現のため、さらに頑張る決意です」