2007年1月1日(月)「しんぶん赤旗」
流れを変える
石原都知事追及にエール
都政私物化 自民都議あきれ顔
“共産党は徹底的にやって”
「知事選で石原を落とさなくてはだめだ。『赤旗』さん、もっと頑張ってくれ」。東京都関連団体の役員が、石原慎太郎都知事による目に余る都政私物化に怒り、こういいました。自民、公明、民主などの「オール与党」に支えられ、マスメディアによってつくられた石原知事の「虚像」が崩れ出しています。
発端は、二〇〇六年十一月十五日と二十二日、日本共産党都議団が都庁で開いた記者会見です。このなかで、石原知事が十五回で二億四千万円を超える税金を使って超豪華海外出張を繰り返していた事実や、知事が「トップダウン」と公言して若手芸術家育成を掲げるトーキョーワンダーサイト(TWS)事業で、四男を公費出張させていた実態などを明らかにしました。民放テレビ各社と大手新聞五紙などが、この問題をいっせいに取り上げました。
■ポスト石原
問題は、知事自身による税金の無駄遣い、親族を巻き込んだ都政の私物化だけに、最大与党の自民党のなかからも批判の声があがっています。
自民党東京都連のある役員は「『赤旗』の記事を見たが、事実だとすれば外国への視察なんか、ものすごくぜいたくだ。税金だからね。石原知事は常識で考えるべきだ。共産党と『赤旗』の追及は賛成だ」と話します。
ある自民党有力都議は「自民党は石原知事の強さに安住しきっている。ポスト石原をいまから考えないとだめだね」と、あきれた口調でいいました。
知事の足元の都庁周辺でも怒りが渦巻いています。都の元幹部は「公私混同するとんでもない人物がトップにいたのでは、いたたまれない。みんなおかしいといっている。徹底的にやってほしい」と日本共産党や「赤旗」に期待を寄せます。
これまで「石原タブー」に縛られていたマスメディアも、共産党の告発と追及をきっかけに、週刊誌やラジオを含め、競うように報道しだしました。そんななか、「赤旗」日曜版(12月10日号)が、福島県知事の汚職事件にかかわる水谷建設元会長から石原知事と三男に、政治資金収支報告に記載されていない献金があった疑惑をスクープしました。(「石原親子 政商水谷建設元会長と料亭会合 消えた『五百万円』」)
■怒り千件超
都民にも問題が知れ渡り、石原知事への不信、怒りは広がる一方です。
都には昨年十二月二十八日までに「懸命に働き税金を納めている私たちを何だと考えているのか」など、千件を超える批判の声が寄せられました。「都民の声課」では「都民の関心の高さが件数を増やした。声が届いている期間も長い」といいます。
「庶民感覚の欠如した、都民のためにならない政治屋は、はやく追い出してほしい」。元足立区長の吉田万三都知事候補(革新無所属、日本共産党推薦)を擁立する「革新都政をつくる会」が、石原知事を告発し、都政の転換を訴えるビラは反響を呼び、電話やファクス、手紙で百件を超える声が届いています。
「ノンポリだが、前回は石原知事に一票入れた。これほどひどいことをしているとは思わなかった。実態を世間に広げてほしい」「石原知事を応援してきたが、ビラやテレビのニュースなどを見てびっくりしている。税金で豪遊し自分の子どもを海外に連れていくなんてとんでもない。共産党はよく調べた」…。
石原知事は「何がぜいたくかと言えば、まず福祉」といって、福祉関係費を六年間で五百四十億円も減らし、年間六十四万円ですむ盲導犬のえさ代補助まで廃止してきました。ところが、自分は超豪華海外出張で税金を浪費し、自ら肝いりの事業で四男を公費出張させる――。
「障害者、弱者のことをまったく考えていない。いまの都政は変えないとだめだ」というのは、視覚障害者の男性(63)。都政を変えようとの流れがいま、沸き起こっています。
十二月末、東京都北区で地域住民が集まり、石原知事の税金の使い方を問うシール投票を行いました。一時間で百二十四人が投票し、全員が「許せない」にシールを張りました。
■次の選挙は
板橋区の男性(76)は強い口調で語ります。
「私は自民党員だ。石原さんなら私たちに良い都政にしてくれると思って前回の知事選で投票した。でも、高齢者への政策がなっていない。社会保障費は減らして、オリンピック招致なんてとんでもない。今度は、何としても石原さんには知事になってほしくない。共産党はもっと頑張って」
日本共産党都議団の吉田信夫幹事長は「わが党の追及が都政をゆるがしている。知事の資格、都政運営の基本にかかわる大問題として、徹底して追及していく」と語っています。