2006年12月31日(日)「しんぶん赤旗」
米軍、新兵獲得に躍起
市民権付与・イスラム対策も
【ワシントン=山崎伸治】米軍のイラク占領が長期化し、駐留部隊の増派や陸軍・海兵隊の定員拡大が議論される一方、さまざまな方法で米軍が新兵の獲得に乗り出しています。
二十六日付のボストン・グローブ紙は、米軍が新兵募集事務所を海外にも設置し、米軍に志願すれば米国の市民権を与えることを検討していると報じています。
同紙によると現在、米軍には約三万人の非米国市民がおり、現役兵力の約2%を占めています。米軍に志願して、市民権を得ることはすでに行われており、その数は二〇〇一年の七百五十人から〇五年には四千六百人と急増しています。
米軍は市民権を「報奨」として、これをさらに拡大しようと画策。ただこれには「国防に傭兵(ようへい)を使うものだ」という批判とともに、「国家安全保障を損なう」という懸念があると同紙は指摘しています。
二十七日付のクリスチャン・サイエンス・モニター紙は、イスラム教徒の志願者を増やすため、米軍が兵学校に礼拝所を設置したり、国防総省高官が同教の行事に出席したりするなどの「努力」をしていると報じました。
同紙によると、その目的は「アラビア語やそれに関連する言語を話し、イラクやアフガニスタンのような地域の文化を理解できる士官や兵士」を増やすこと。米軍には現在、少なくとも三千三百八十六人のイスラム教徒がいるといいます。