2006年12月31日(日)「しんぶん赤旗」
職場のたたかい '06
偽装請負アウト
職場に働くルールを求めるたたかいは二〇〇六年、大きく展開しました。大手の製造業を中心に横行する違法な偽装請負を是正し、直接雇用の道を開く流れをつくりました。
徳島では、請負の青年らが労働組合を結成し、二つの工場で、直接雇用を求めて実態を労働局に告発。勇気あるたたかいが県を動かし、偽装請負の是正と正社員登用を前提とする直接雇用をかちとりました。トヨタ系列の光洋シーリングテクノでは、請負会社の雇い止め通告を撤回させ、八月、組合員ら五十九人の雇用を実現。発光ダイオードの日亜化学では十一月、請負社員千六百人全員を雇用させる道筋をつけました。
業務委託契約を結び、個人で独立して働く労働者の権利を認めさせる事例が相次ぎました。
清掃用品レンタルのダスキン事業などを行うナックや住宅設備INAX(イナックス)の子会社、音響メーカー・ビクターの子会社との争議では、各地の労働委員会が労働組合法の保護・適用を受ける「労働者」と認め、会社側に団体交渉に応じるよう命じました。
労災・成果主義
長時間・過密労働による過労死・過労自殺の使用者責任や労働災害を認定させるたたかいでも、顕著な前進がありました。
軽四輪最大手・スズキの課長代理だった男性(41)の過労自殺の問題で、静岡地裁は、同社の安全配慮義務違反を認める判決を出しました。乗務先の海外滞在中の発症で障害を患った日本航空の元客室乗務員(59)の労災認定を認めた東京高裁判決が確定しました。
成果主義賃金の導入に反対するたたかいでは、導入された長野市内の病院・介護施設で、撤回を求める労働組合との団体交渉を拒む法人に対し、県労働委員会が「説明を十分に行っていない」として団交に応じよと命令。岩手県教育委員会は、「反対」が96%を占めた職場投票などを受け、六月の導入を延期しました。
労働運動“復活”
法改正に伴う六十歳以降の雇用延長では、会社の選別基準をはね返した事例が続き、嘱託社員にも雇用延長を実現。女性に対する賃金・昇格差別で、住友金属の社員ら四人のたたかいは大阪高裁で和解しました。
残業代を大企業などが横取りするサービス残業(ただ働き)でも、労働者の告発によって、前年度二百三十三億円の残業代を支払わせる是正指導をさせました。職場に労働運動が復活した年となりました。