2006年12月30日(土)「しんぶん赤旗」
大企業の法人実効税率「40%」は形だけ
実は30―33%
各種優遇で大幅軽減
本紙試算
大企業の利益にかかる法人課税の実際の実効税率が優遇措置によってすでに30―33%に引き下げられていることが本紙の試算でわかりました。連結経常利益ランキング上位百社の同実効税率は平均で30・7%。持ち株会社や税額がマイナスの企業などを除いた上位七十九社の平均では、32・6%となります。トヨタ自動車一社では、同税率は32・1%となりました。
試算は、各企業の二〇〇六年三月期決算(単体、一部を除く)の「税引き前当期利益」と「法人税等」のデータをもとに推計しました。
基本税率30%の法人税(国税)に法人住民税や法人事業税など地方税を加えた企業の税負担割合(実効税率)は、現行制度では約40%です。
しかし、各企業の実際の税負担は、研究開発減税や受取配当益金不算入、外国税額控除などによって大幅に軽減されています。その結果、実際の税負担割合は約40%より、大幅に軽減されることになります。
トヨタ自動車が営業利益で二兆円を突破(〇七年三月期)しようとしているのをはじめ、大企業は「リストラ効果」や「外需頼み」で、バブル期を超える空前の利益を更新し続けています。
日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、「(法人実効税率を)現状の40%から30%をメドに早急に引き下げるべきである」(十一月十三日の記者会見)と主張し、「国際競争力強化」を口実に、法人実効税率引き下げを強く求めてきました。
財界の主張は、すでに低く抑えられた税負担をいっそう軽減する大企業本位の要求にすぎないことが浮き彫りになりました。