2006年12月29日(金)「しんぶん赤旗」
母子加算全廃 収入減るばかりね
みどり 安倍内閣は来年度予算案で、生活保護費の母子加算を三年間で全廃して、約四百二十億円も削減するんですってね。これを知って、バイト先で一緒に働いている女性はため息をついていたわ。
生活保護受ける
晴男 彼女は生活保護を受けているのかい?
みどり そうなのよ。夫の暴力が原因で離婚して、高校二年生と中学一年生の子どもと三人で生活しているの。パートの仕事をしながら生活保護を受けているんだって。
晴男 「高校二年生の子ども」ということは、すでに母子加算が減額されているんじゃないの?
みどり そうなの。政府は、昨年四月から十六―十八歳の子どものいる世帯に対して加算を減額していて、来年度からは廃止するんですって。
晴男 そうらしいね。そのうえ、来年度から、十五歳以下の子どものいる世帯でも段階的に廃止して、三年後には全廃するっていうんだろ。
みどり 彼女は、育ち盛りの子どもがいて、食費だけでもかなりかかるのに、収入はどんどん減るばかりと暗くなってたわ。
晴男 そもそも、ひとり親世帯に母子加算が支給されるのは、ひとり親世帯が経済的にも精神的にも負担が大きいからだというじゃないか。
みどり そうよ。母子加算を受けている世帯は年々増えていて、受給件数は九万七千件を超えているのよ。全廃の影響は大きいわ。
晴男 母子加算がなくなると、どのくらい収入は減るのかな?
みどり 彼女の場合、月二万五千円ほど減るらしいわ。彼女はこれから何を切り詰めていこうかと、頭を抱えていたわ。
子どもの将来は
晴男 親としては、収入がないから進学させられないなんて、子どもの将来の選択を狭めることはしたくないだろう。同じ親として、そのつらさがよくわかるよ。
みどり 安倍首相は『美しい国へ』という著書の中で、「『再チャレンジ可能な社会』には、人生の各段階で多様な選択肢が用意されていなければならない」といっているけど、やっていることはまったく逆だわ。
晴男 その通りだね。政府は母子加算の全廃をきっぱり見直すべきだ。