2006年12月29日(金)「しんぶん赤旗」
参院選挙制度
格差是正 待ったなし
一部に改悪の議論も
超党派でつくる参院改革協議会(座長・片山虎之助自民党参院幹事長)が参院選挙制度について議論を始めています。二十五日には学識経験者から意見をききました。議論のきっかけは、参院選での「一票の格差」ですが、議論の中では、それにとどまらない選挙制度改悪の「私案」も出ています。
参院の定数は現在二百四十二。このうち比例が九十六、選挙区が百四十六です。選挙区選挙は、すべての都道府県に最低二議席を割り当てています。任期は六年で、三年ごとに半数を改選します。
しかし、選挙区間の「一票の格差」は、二〇〇四年参院選で最大五・一三倍に拡大。最高裁は、十月に「合憲」と判断したものの、十五人中五人の裁判官が「違憲」とする反対意見をのべました。格差是正は待ったなしの課題です。
今年六月に、栃木と群馬を二議席ずつ減らし、東京と千葉をそれぞれ二増する「四増四減」が成立しましたが、それでも格差は四・八四倍。今後、さらに拡大することも予想され、野党側は不十分だとして反対した経緯があります。
「一票の格差」の是正に向けて本格議論を開始することは当然です。
しかし、座長の片山氏は、二十五日の記者会見で「私案」として、参院は選挙区選挙を廃止し、将来の「道州制」の導入も念頭にブロック単位と全国単位の二種類の比例代表制にする考えを示しました。一方で、衆院には比例代表を廃止し、すべて小選挙区制にする完全小選挙区制への移行を求めるというものです。
小選挙区制は、大政党に有利に民意をゆがめるだけに、片山氏の主張では、衆院から小政党が排除されることになりかねません。現段階で衆院で選挙制度の抜本改革について議論する動きがあるわけではなく、片山氏の「私案」にすぎないとはいえ、片山氏は、従来も「衆院を完全小選挙区制、参院は二本立ての比例代表とすれば、両院の制度の違いは分かりやすいのではないか」(「産経」十一月十四日付)とのべています。
選挙制度は議会制民主主義の根幹であり、各党の合意の上で制度論議をすすめる必要があります。党利党略ではなく、民意を正確に反映させるための冷静な議論が求められます。