2006年12月28日(木)「しんぶん赤旗」

「君が代」解雇訴訟結審

判決は来春の見通し


 卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に定年後の再雇用を取り消され、事実上解雇されたのは不当として都立高校元教員十人が東京都教育委員会を訴えた裁判が二十七日、東京地裁(佐村浩之裁判長)で結審しました。判決は来年春の見通しです。

 この日の口頭弁論では原告二人が最終意見陳述をしました。

 元教頭の近藤光男さんは、「三十八年間ずっと国歌を歌いつづけ、歌ってもらうようお願いもしてきたが、都の通達による強制命令に服従したら、戦争のできる国へと逆戻りさせてしまうと思った」と起立しなかった理由を述べました。戦時中、武道が学校で必修化され「国に命をささげる精神と兵力としての強靭(きょうじん)な肉体を養成することが目的とされた」ことを指摘し、「国家が教育を支配したことによるこのような誤りを忘れてはいけない」と訴えました。

 太田淑子さんは「いま学校で大切なことは、教師自身が心を開き、生徒の前で正直な思いを語りかけ、生徒たちが教師に相談したい、話したいと思ったとき、見落とすことなくキャッチして、話に耳を傾けること」とのべ、教師の自由を奪う強制を批判。「子どもも教職員も安心して、本音で語り合える学校にするための判決が求められている」と訴えました。

 原告弁護団は最終弁論で「生徒の前で教職員に面従腹背を迫る強制は許されない。時代を逆行させない判決を願う」とのべました。


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