2006年12月28日(木)「しんぶん赤旗」
残業代ゼロ制度導入へ
政府 通常国会に法案提出狙う
労政審が答申
労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)労働条件分科会は二十七日、労働者委員が強く反対するなか、残業代なしで何時間も働かせる「ホワイトカラーエグゼンプション」(労働時間規制の除外)の導入など労働法制の大改悪を盛り込んだ労働時間と労働契約にかんする報告をまとめ、柳沢伯夫厚労相に答申しました。これを受けて厚労省は、来年の通常国会に労働法制改悪法案の提出をねらっています。
労働時間規制の除外制度は、「管理職一歩手前」の労働者について、一日八時間・週四十時間の規制を外すもの。対象者となる年収基準については政省令で定めますが、日本経団連は年収四百万円を主張しています。
サービス残業の温床と批判されている「裁量労働制」(あらかじめ決めた時間だけ働いたとみなす制度)でも、対象業務の拡大(中小企業の場合)や、労基署に出す労働時間などの定期報告の廃止が盛り込まれました。
新たにつくる労働契約法では、賃下げなど労働条件切り下げを就業規則でできると規定。労働者が反対しても企業に都合のいい契約を押し付けられる仕組みです。
長時間労働是正のため労働側が求めていた時間外割増賃金引き上げは、一定時間を超える場合だけに限定。パートなど有期雇用労働者の正社員化や均等待遇はいずれも盛り込まれませんでした。
一方、不当解雇でも金さえ払えば解雇ができる「解雇の金銭解決制度」は検討事項とされ、導入は見送られました。
答申は労働者・使用者代表の反対意見が各所に付記され、合意したものとはいえない内容です。
この日の分科会で労働者委員は「労働時間規制の除外制度は削除すべきだ」「企業が求めるもので従業員が求める内容ではない」などと強く反対。使用者委員からも「労使の意見の隔たりが大きく、とりまとめは時期尚早」(日本商工会議所)との意見が出ました。
「命脅かす」と労組抗議
「過労死促進法はやめろ」。労政審が開かれた厚生労働省前で二十七日夕、約二百人の労働者が労働法制の大改悪に向けた報告書のとりまとめに対し、抗議行動を行いました。全労連などでつくる労働法制中央連絡会をはじめとした労組が怒りの声をあげました。
全労連の生熊茂実副議長は、「ホワイトカラーエグゼンプション」について「働く者の命や健康を脅かす重大な問題だ」と批判。「大きな世論で労働法制の改悪を阻止していこう」と呼びかけました。京都総評の岩橋祐治議長は「使用者、労働者委員の間で意見がまったく違うのに、なぜとりまとめることができるのか。暴挙は許せない」と訴えました。
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