2006年12月27日(水)「しんぶん赤旗」
北九州 生活保護拒まれ餓死
“対応次第で防げた”
厚労省検証
北九州市で一人暮らしの男性=当時(56)=が五月、生活保護が受けられず餓死状態で発見された事件で、厚生労働省は二十六日、「対応次第では本事例のような結果にならなかった可能性がある」とする調査結果を明らかにしました。「対応に問題はなかった」としていた北九州市は是正を迫られることになります。
国会で検証を求めた日本共産党の仁比聡平参院議員に同日、調査結果の詳細を報告したもの。
男性は、昨年夏に職を失って生活に困り、水道をはじめとするライフラインがすべて止められてしまいました。九月と十二月の二度にわたって生活保護を受けたいとケースワーカーや福祉事務所に訴えましたが、市は申請書さえ渡さず拒否。「申請権の侵害が男性の死を招いた」との社会的批判を浴びています。
調査報告書では、初期の対応や九月の申請時について申請権の侵害にはつながらないとしています。しかし、十二月の申請時の対応について「ライフラインが止められたままであったこと等から、長男の扶養の可能性の如何(いかん)に拘(かか)わらず、男性の生活歴、現在の資力の有無等、詳しい話を聴く必要があった」と指摘。「福祉事務所の関係各課の連携等の対応次第では、本件事例のような結果にならなかった可能性がある」と結論づけました。
この問題で厚労省は、高橋千鶴子衆院議員の質問に「(二度目のときに)もう一歩踏み込んでより詳しい話を聞く必要があった」と答弁していました。