2006年12月26日(火)「しんぶん赤旗」
Xマスも米軍作戦続行
内相 “警官死者1万2000人に”
イラク
イラクからの報道によると、クリスマスにもかかわらず、米軍は武装抵抗勢力を「掃討する」と称して軍事作戦を続行しています。首都バグダッドでは、一軒一軒しらみつぶしに押し入り、イスラム教シーア派民兵組織の指導者を捜索。中部ディヤラ州などでも「掃討作戦」を進めています。
「ここイラクにはクリスマス休暇などない」と戦闘部隊を陣頭指揮する二等軍曹は言います。
ロイター通信によると二十三日にはバグダッドで三人、ディヤラ州で一人が爆弾で死亡。米兵の死者は開戦以来二千九百六十四人となりました。別の報道では同日、バグダッド近郊でさらに二人の米兵が死亡しており、計二千九百六十九人になったとしています。米兵の死者が三千人に達するのも目前となり、ブッシュ政権が検討中とされる「増派」方針に新たに批判、疑問の声が出るのは必至です。
イラク側の治安体制も問題を抱えています。ボラニ内相は二十四日の記者会見で、二〇〇三年四月のフセイン政権崩壊以来、武装勢力の攻撃や犯罪などで死亡した警官が約一万二千人に上ると述べました。
同日も、バグダッド北方ムクダディヤの警察署が自爆攻撃に遭い、警官七人が死亡しました。
警官の制服をまとった武装集団が銀行強盗をしたり、イラク赤新月社のスタッフを誘拐するなどの暴力事件も続いています。ボラニ内相は「綱紀粛正と内部浄化の委員会を設けた。内務省から悪い要素を除去する」と弁明しました。
イラクのキリスト教徒は、宗派間抗争が激化し国民の間の溝が深まるなか、屋内でひっそりとクリスマスを祝っています。安全上の理由から、バグダッドのいくつかの教会はクリスマスイブのミサを取りやめました。(居波保夫)