2006年12月23日(土)「しんぶん赤旗」
松岡農水相1300万円受領
自民・鳥インフル対策担当時
養鶏業界大手から
二〇〇四年に山口県で、国内では七十九年ぶりに発生した鳥インフルエンザは、〇五年にも茨城県を中心に連続的に発生し、養鶏業界に大きな打撃を与えました。その養鶏業界から、昨年、自民党の鳥インフルエンザ対策本部事務局長だった松岡利勝農水相の政治団体が、一年間で約千三百万円の資金提供を受けていたことがわかりました。
松岡氏が代表を務める自民党熊本県第三選挙区支部と、同氏の資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」の政治資金収支報告書(〇五年分)によると、「支部」は、大手養鶏企業はじめ十社から計五百八十二万円、「懇話会」は、日本鶏卵生産者協会の役員ら計十一人から計四百二十六万円の献金をそれぞれ受け取っています。
また、「懇話会」が開いた政治資金集めパーティー「21世紀を語る会」のパーティー券を、業界団体の役員が経営する二社が計百四十万円分、日本養鶏政治連盟が百五十万円分、それぞれ購入しています。
日本養鶏協会など業界団体は昨年、感染の拡大を防ぐために、鶏へのワクチン早期使用などを求める要請を農水省に何度も行っています。
松岡農水相は、林野庁OBの農水族で、農水政務次官、同副大臣を歴任し、安倍内閣で初入閣しました。同氏のホームページによると、昨年、自民党の鳥インフルエンザ対策本部の事務局長として、茨城県内で鳥インフルエンザが発生した直後の昨年六月三十日、「日本鶏卵生産者協会の方々からの要請」があったとしています。
業界団体の要請と、業界からの献金について、関連があるのではないか、との本紙の問い合わせに対して、松岡事務所は、「ご指摘の点は一切関係ございません」としています。
“影響力を”と政治団体設立
松岡利勝農水相のパーティー券を百五十万円分購入していた日本養鶏政治連盟は、昨年三月に設立された政治団体です。
社団法人「日本養鶏協会」(梅原宏保会長)の会員である日本鶏卵生産者協会内に事務所を置き、代表者は梅原氏。会計責任者は日本養鶏協会の理事を務める日本鶏卵生産者協会の副会長です。
日本養鶏協会の「平成17年度事業報告」は、「鳥インフルエンザ問題を始めとする各種の養鶏関係課題の取組みについても、他の畜種・農業部門並みの政治的影響力を発揮することにより一定の成果を期すべきとの観点」で政治連盟を設立したとしています。
日本養鶏政治連盟の政治資金収支報告書(二〇〇五年分)によると、組織活動費として、「渉外費」名目で農水族議員の資金集めパーティー券の支出が七百万円以上あります。
このうち、松岡農水相はじめ、野呂田芳成元農水相、農水官僚出身の永岡洋治衆院議員(昨年八月自殺)、松岡農水相が所属する派閥の「志帥会」のパーティー券がそれぞれ百五十万円。農水省食品流通局長などを歴任した福島啓史郎参院議員には、百二十万円の年会費のほか、十万円分のパーティー券代を支出しています。