2006年12月23日(土)「しんぶん赤旗」
「巨大港を 道路を」
官財一体の大合唱
物流競争力の名でムダ
物流 900億円 港湾 524億円 予算化
「国際物流競争力の強化」の名のもとに、道路やスーパー中枢港湾の整備など無駄な公共事業が財界と省庁が一体となって進められようとしています。その推進母体となっているのが業界団体トップと関係省庁の大臣で構成する「国際物流競争力パートナーシップ会議」です。二十二日、東京都内のホテルで開かれた第二回の会合では、物流インフラ(基盤)の整備などの方向性を示した「行動計画」を決定しました。参加した代表らからは事業促進の大合唱となりました。
日本経団連の渡文明副会長は、同計画にある物流インフラの整備方針について「日本経団連の考え方とほぼ一致しており当面の大きなテーマだ」とのべ、計画の促進を求めました。
宮原賢次住友商事会長は「(物流インフラの整備には)国家レベルでの政策が必要」としたうえで、「スーパー中枢港湾の整備を加速してもらいたい」と注文。山元峯生全日本空輸社長は、成田、羽田空港周辺のアクセス道路整備の早期実現を促しました。
甘利明経済産業相は、「行動計画」の確実な実現のために官民一体となって全力をつくすと応えました。
物流関連事業は、二〇〇七年度政府予算案(財務省原案)のなかでも「重点化」され、「企業の使い勝手のよいものにするために積極的に進める」(国土交通省政策調整官)とされています。
「物流機能強化等重点戦略」として九百億円(〇六年度当初予算比34・3%増)を計上。コンテナ車が積み替えなく通行できる幹線道路網、空港・港湾アクセス道路の整備などがその中身です。
スーパー中枢港湾に五百二十四億円(同37・5%増)を予算化。コンテナ船の大型化に対応するとして、水深十六メートルターミナルを〇六年度の神戸港につづき、〇七年度は東京湾、横浜港で新規着工する計画です。
いずれも突出した伸び。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「物流インフラの整備にきめ細かく目配りされている」(二十日)と歓迎しています。
■国際物流競争力パートナーシップ会議のメンバー
経済産業大臣 甘利 明
国土交通大臣 冬柴 鉄三
電子情報技術産業協会会長 秋草 直之 (富士通会長)
日本物流団体連合会会長 岡部 正彦 (日本通運会長)
日本貿易会会長 佐々木幹夫 (三菱商事会長)
日本船主協会会長 鈴木 邦雄 (商船三井会長)
日本自動車工業会会長 張 富士夫 (トヨタ自動車会長)
航空貨物運送協会会長 中谷 桂一 (日本通運副社長)
日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会会長 中谷 桂一(日本通運副社長)
日本ロジスティクスシステム協会会長 三村 明夫 (新日本製鉄社長)
日本機械輸出組合理事長 宮原 賢次 (住友商事会長)
定期航空協会会長 山元 峯生(全日本空輸社長)
日本貿易振興機構理事長 渡辺 修
日本経済団体連合会副会長 渡 文明 (新日本石油会長)
国際物流競争力パートナーシップ会議 日本企業の国際競争力強化のため、「アジアでの国際物流の基盤整備」をうたい文句に設置された会議。製品や原材料などの輸送の費用と時間を大幅に減らすことが目的です。経済産業大臣と国土交通大臣が共同議長で、日本経済団体連合会(日本経団連)はじめ十二の財界・業界団体の会長らがメンバーです。政府の「経済成長戦略大綱」(七月六日)、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2006」(七月七日)を受け、八月二十一日に設置されました。