2006年12月22日(金)「しんぶん赤旗」

“運動が与党も動かした”

難病補助 打ち切り撤回で患者ら


 政府・厚生労働省が、難病のかいよう性大腸炎とパーキンソン病の患者九万人の公費負担医療を打ち切ろうとしていた問題で、日本難病・疾病団体協議会(JPA、伊藤たてお代表)は二十一日、厚生労働省と意見交換会を開きました。患者団体によると席上、厚労省は、「二〇〇七年度は現行通りの対応とする」とのべ、打ち切り方針撤回を表明しました。

 また同省は新規疾患の指定に関し「現時点で追加のあるなしは言えない」として、年度内に特定疾患対策懇談会(健康局長の私的諮問機関)を開き検討するとしました。

 患者側は、難病の公費負担医療制度の検討に当たっては、厚生科学審議会難病対策委員会を開催するよう求めました。

 患者団体の代表らは厚労省の方針撤回表明を受け、意見交換会終了後、喜びを語りました。

 JPAの坂本秀夫事務局長は、「運動によって野党だけでなく与党も反対する状況をつくり、撤回させたことは大きな成果だ」と強調しました。そのうえで「〇八年度以降の見直しや、国の予算が少ないために生じた地方自治体の超過負担など課題も残されている。難病対策の後退を許さず、国会決議に沿った対策強化を求めていきたい」と話しました。

 かいよう性大腸炎の患者団体でつくるIBDネットワーク世話人の萩原英司さんは、「厚労省の特定懇が打ち切り方針を決めた日、テレビのニュースキャスターが“ほかに削るところがある”とコメントした。署名運動などで、そう言わざるを得ない雰囲気をつくったことが撤回につながったと思う」と語りました。

 全国パーキンソン病友の会が初めて取り組んだ街頭署名には、列ができるなど各地で大きな反響がありました。不自由な体をおして街頭に立った斎藤博会長は、「難病問題だけでなく医療改悪や税制改悪による負担増など、冷たい政治への怒りが蓄積し、国民は何かしたいと待っている感じがした。今回の方針撤回もこうした世論の反映だと思う」と話しています。


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